映画『リズと青い鳥』のラストシーン、音声のない「最後のセリフ」に驚いた方も多いはず。
本記事では、最も有力な説である「ハッピーアイスクリーム」の意味や、最後に希美が見せた驚いた顔・笑った理由について徹底考察します。
映画『リズと青い鳥』主な登場人物・キャスト
- 鎧塚みぞれ(CV:種﨑敦美):オーボエ担当。北宇治高校吹奏楽部3年生。内気で口数が少ないが、圧倒的な演奏技術を持つ。
- 傘木希美(CV:東山奈央):フルート担当。北宇治高校吹奏楽部3年生。部内の人気者で、みぞれが唯一心を開く親友。
- リズ / 青い鳥(CV:本田望結):本作の劇中劇(童話)に登場する、ひとりぼっちの少女と不思議な少女。
【解説】最後のセリフの正体は?リズと青い鳥
映画『リズと青い鳥』のラストシーン。希美が振り返り、何かを言う場面ですが、あえて音声は消されています。
本作の「最後のセリフ」の正体として、ファンの間で読唇術による分析が進められた結果、最も有力視されているのは「ハッピーアイスクリーム」という言葉です。
1.「ハッピーアイスクリーム」の意味とは
「ハッピーアイスクリーム」という台詞は、劇中で何度も描かれた、二人の会話がどこか噛み合わない象徴としてのキーワード。その台詞が、ラストシーンで最高の形で登場します。
B案は希美がハッピーアイスクリームからの連想で”愛”の言葉を(後ろを向いて)口にした。ハッピーアイスクリームは原作に無いセリフで加えられたそうだ。この映画のタイトルは「みぞれと希美の物語」ではなく「リズと青い鳥」。劇中劇のリズと青い鳥の最後のセリフはリズから青い鳥への「愛」の言葉
— みらぼ (@mirrorboy) April 29, 2018
リズと青い鳥、今まで噛み合ってなかった2人の足音が最後のハッピーアイスクリームの場面で揃うってのを見た時は膝から崩れ落ちた
— バターボール (@OkbTrial) January 2, 2019
2.きっと観客の数だけ答えがある!
一方、公式インタビューで山田尚子監督は、本作について「100人の方がご覧になったら、100通りの感想があるんじゃないかな」と語っています。
引用元:映画『リズと青い鳥』公式サイト│『響け!』製作委員会映画『リズと青い鳥』では、偶々みぞれと希美という二人の女の子の物語として描いていますが、誰の心にでもきっとある、形を変えてでも感じたことがある「思い」を描いた作品だと思います。
100人の方がご覧になったら、100通りの感想があるんじゃないかなぁと思うので、観た後にちょっと語らってみたくなる、そんな映画になっているのでは、と思います。どうぞ、公開をお楽しみに。
制作陣から与えられたヒントは以下。
- 「join」な内容であるということ。
(※映画の最後に表示される文字) - みぞれが「ほえ?」という表情になる内容だということ。
公式が音を消した真の狙いは、特定の正解を提示することではなく、観客一人ひとりにその答えを委ねることにあるはずです。
あなたが二人の表情から感じ取った言葉こそが、この物語の真の結末と言えるでしょう。
因みに個人的には「みぞれの笑顔も好き!」がしっくりときます。ラストでは、希美は背後にいるみぞれの方を見ていないにも関わらず、“いま、みぞれが笑顔だ”と、そんなことは分かってしまう…という爽やかなオチだったのかなと思いました。
まさに“語らいたくなる”ラストです。
【考察】みぞれが驚いた顔をした理由:ちぐはぐな二人が「重なった」瞬間
希美に声をかけられたみぞれが、一瞬、時が止まったような驚愕の表情を見せた理由。それは、希美の行動が「今までの二人」の力関係を根底から覆すものだったからではないでしょうか。
これまでの二人は、いつだって「ちぐはぐ」でした。
- 問いかけに問いかけで返してしまう、ぎこちない会話
- 相手を想う「好き」という気持ちの、重さと種類の決定的な違い
常に「追うみぞれ」と「(意図せずとも)逃げる希美」。みぞれにとって希美は、自分が必死に手を伸ばし続けなければ消えてしまうような、危うい光でした。
しかし、あの瞬間、希美は自分から振り返り、みぞれに向かって言葉を投げかけました。ずっと拒んできた「噛み合うこと」を、希美が自ら選んだのです。
交わらないはずの二人の旋律が、ついに重なり合った(disjointからjointへ)。
その奇跡に、みぞれはただ言葉を失ったのだと考えます。
【考察】希美が最後に笑った理由は?
物語のラスト、希美はなぜ笑ったのでしょうか。そこには二つの意味が込められていると考えられます。
- 嫉妬からの開放
- リズと青い鳥の童話に重なった
1.嫉妬からの開放
希美はみぞれの音楽の才能に嫉妬していました。希美にとっては音楽の才能が全てでした。
希美を全肯定するみぞれの存在により、「音楽が全て=音楽の才能でわたしの価値が決まる」という価値観から抜け出し、憑き物が落ちたように笑ったのでしょう。
2.リズと青い鳥の童話に重なった
希美は、みぞれからの告白に対し「みぞれの音楽が好き」とだけ答えたのは、“みぞれを自由にするため”というのが根底にあると思われます。
希美が笑ったのは、緊張が解けたのとともに、「これじゃ、本当にリズと青い鳥だよ」と可笑しくなったのだと捉えることができます。
映画『リズと青い鳥』作品情報

| 作品名 | 『リズと青い空』 |
|---|---|
| 公開日 | 2018年4月21日 |
| 制作国 | 日本 |
| 上映時間 | 90分(1時間30分) |
| 監督 | 山田尚子 |
| 原作 | 武田綾乃 |
本作の原作は、人気シリーズの第2部にあたる小説『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章』です。
また、希美が部活に戻ってくるまでの前日譚は、テレビアニメ『響け!ユーフォニアム2』の序盤(1話〜4話)で描かれています。
映画を観て二人の関係性が気になった方は、ぜひアニメ版もチェックしてみてください。
アニメ『響け!ユーフォニアム』のシーズン2を視聴するなら、アマゾンプライムがオススメ!
まとめ:『リズと青い鳥』の最後のセリフの考察
映画『リズと青い鳥』のラストシーン、最後のセリフやみぞれの驚いた顔、希美の笑顔について考察しました。
- 最後のセリフ:有力なのは「ハッピーアイスクリーム」。二人の心が一つに重なった(joinした)ことを象徴する言葉です。
- 希美の笑顔:みぞれの才能への嫉妬から解放され、自分たちを「リズと青い鳥」に重ねて可笑しくなった、最高の親愛の証です。
- 監督の意図:正解は一つではなく、観客100人に100通りの答えがあっていい。
ずっと「噛み合わなかった」二人が、言葉を超えて繋がり合ったあの瞬間。
皆さんは、希美の口元にどんな言葉を重ねましたか?