映画『あの花が咲く丘で君とまた出会えたら』は、涙腺を容赦なく攻めてくる感動シーンが印象的ですよね。
この記事では、映画を実際に観た筆者が “特に心を揺さぶられた感動シーン・印象に残ったシーン7つ” を厳選して紹介します。
映画『あの花が咲く丘で君とまた出会えたら』【感動シーン7選一覧】
まずは【感動シーン一覧】をご覧ください。
- 百合畑での最後の会話
- 喫茶店でのかき氷のシーン
- 空襲の中での順平の怒りと本音
- 鶴さんの「おめでとうございます」
- 特攻隊員たちの手紙
- ラスト前の別れの瞬間
- 彰から未来へ託された“手紙”
このあと、1つずつ深掘りします。
感動シーン1:百合畑での最後の会話
佐久間彰(演:水上恒司)が特攻隊として出撃する前日、加納百合役(演:福原遥)の提案で2人で百合畑に向かうシーン。
彰は、「百合(花)の香りに包まれていると、”良いことも“悪いことも全て忘れられる」と静かに語ります。
「良いことは忘れちゃダメじゃない?」と明るく言う百合に対し、彰が「何も考えたくないこともある」と返します。
解説
彰は特攻隊だからこそ、だからこそ、悲しみも、切なさも、嬉しさも、“いずれ終わる”ということを、誰よりも理解していたのでしょう。
「体育の教師になりたい」という未来の夢さえも、時に苦しみに変わってしまう――そんな彰の気持ちに、百合はまだ思い至ることができない。その“すれ違い”が静かに滲み出る、切なさ溢れるシーンです。
感動シーン2:喫茶店でのかき氷のシーン
特攻隊員たちで開催された野球大会の帰り道。百合と彰は、喫茶店に立ち寄ってかき氷を食べるシーンです。
氷に砂糖水をかけただけという素朴なかき氷を目の前に、“これがみぞれ味?”と動揺を見せる百合。しかし、一口食べると、思わず顔を綻ばせます。
百合は「幸せの味」と表現。そのあとに彰も同じく「幸せの味」と続きます。
解説
「幸せの味」――戦時中という緊迫した日常のなかでのちょっとした贅沢、つかの間の安らぎ。
特攻隊員が1人の青年として味わう“本来の幸せ”を、心から噛みしめている姿に、胸が熱くなります。
感動シーン3:空襲の中での順平の本音「命が一番だろ!」
空襲から逃げている最中、鶴さんの大切な着物と引き換えに手に入れたお米がないことに気がつきます。
それは、特攻隊員たちに御馳走するための大事なお米でした。
血相を変えて、道を引き返そうとする百合に、とっさに彰がかけた言葉は――「バカ!命が一番だろ!」
解説
その言葉の直後、少し複雑な表情をみせる彰。
その言葉は、無意識下で出た彼の本音でした。
感動シーン4:鶴さんの「おめでとうございます」
鶴屋食堂で、彰たち特攻隊員が、鶴屋食堂の女将のツルさん(演:松坂慶子)に明日に出撃することが決まったことを報告するシーン。
彼らの言葉を受け止めた鶴さんは、振り絞るように「おめでとうございます。」と、たった一言伝えます。
解説
現代からの視点で観ると、特攻が決まった報告に対し「おめでとう」という返答が良しとされているのは、恐ろしいです。
しかし、当時の特攻隊員からすると、このツルさんの言葉が救いであり、心の拠り所となっていたことは想像に難くありません。
前日の夜、脱走しようとした最年少の特攻隊員に向けて、先輩が放った「生き恥をさらすな」という言葉もまた、同じ空気を孕んでいました。
そこには、同調圧力が存在していたといえるでしょう。
感動シーン5:特攻隊員たちの手紙
ツルさんは、食堂を運営することのほかに、特攻隊員らが出撃前に書いた“最期の手紙”を預かり、宛名の人物へきちんと届けるという、もうひとつの大切な役目を担っていました。
というのも、特攻隊員たちの手紙は上官によって検閲され、内容によっては破棄されてしまうこともあったから……という印象的なシーンです。
解説
特攻隊による戦闘死者数は、役6300人以上。
実際に特攻隊員だった方々の証言によれば、自ら志願した者もいれば、説得や命令に逆らえず“志願せざるを得なかった”者もいたようです。
物語の終盤、出撃の前日――彰がほとんど言葉を交わさずに百合の元を去りますが、実は彼女宛ての手紙をツルさんに託していました。そう思うと、彼の沈黙が、かえって痛いほど胸に響いてきます。
手紙を託したい”誰か”がいること。
それが、どれほど彼らの心を支えていたのでしょうか。
感動シーン6:ラスト前の別れの瞬間
特攻隊員たちが、そろぞれ立派な態度で飛び立っていくシーン。
飛行機の機体には、下にぶら下がる爆弾。そしてコクピットには、妻や子どもの写真、千代紙の人形、そして百合の花──それぞれが「誰かを想う証」を抱えていました。
解説
特攻隊が乗る機体の燃料は片道分しか積まえていないため、その瞬間から死へのカウントダウンは始まっています。
彼らは、作中の冒頭で百合がいうように「自爆」したのでしょうか――。
それに対する答えは、きっと“NO”です。彼らは「自爆」したのではなく、「誰かを守るために飛んだ」のだと分かります。
そんな“答え合わせ”をするような感動シーンでした。
特攻作戦の発案者とされる海軍軍司令部次長の大西瀧次郎中将さんは、戦争終了を知らせる「玉音放送」の翌日に自ら命を絶っています。
「特攻」という名の作戦が、そしてあの戦争そのものが、どれほど重く、取り返しのつかない愚かさだったのか──。
それを誰よりも実感していたのは、彼自身だったのかもしれません。
感動シーン7:彰から未来へ託された手紙
最後、現代の社会科見学の知覧特攻平和会館で、百合は「彰が自分へ宛てた手紙」を見つけます。
「できるならば、戦争のない時代に生まれて君と一緒に過ごしたかった」
「平和で笑顔の絶えない未来を、一生懸命生きてくれ」
と綴られていました。
彼からの恋心、未来にかける想いを思いがけない形で目にした百合は、たまらず泣き崩れます。
解説
彰が願った通りの未来を生きている百合――いまある平和と自由は、特攻隊が命をかけて守ってくれた世界でした。
普段、何気なく過ごしている“当たり前の日々”に心から感謝できるのは、もしかすると、ふたたび戦争が始まったときなのかもしれません。
けれど、それでは遅い。勿体ない。特攻隊員たちが尊い命を捧げて託してくれた今を、熱意をもって生きたいと思わてくれる、ラストに相応しい感動シーンです。
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まとめ:『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』の感動シーン7選
映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』は、ただのタイムスリップ恋愛映画ではありません。
戦争という過酷な時代を生きた人々の心に寄り添いながら、今を生きる私たちに「当たり前にある日常の尊さ」を静かに問いかけてきます。
数々の感動シーン・印象に残ったシーンを通して、平和とは何か、命とは何かを見つめ直し、「いま」をどう生きていくかを優しく背中から支えてくれるような作品です。
