『火のないところに煙は(芦沢央著)』についてです。
2018年に発売され、第7回静岡書店大賞を受賞しました。
「怖い!」と話題の作品です。
これらの怪談話について、実話なのかどうかも気になるところですよね。
ということで本記事では、
- 実話なのかどうか
- 榊は実在するのか、最後どうなったのか
についてまとめています。
ご興味のある方はぜひご覧くださいませ。
【火のないところに煙は】あらすじ・ストーリー紹介
「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」。突然の依頼に、かつての凄惨な体験が作家の脳裏に浮かぶ。解けない謎、救えなかった友人、そこから逃げ出した自分。作家は、事件を小説にすることで解決を目論むが――。驚愕の展開とどんでん返しの波状攻撃、そして導かれる最恐の真実。読み始めたら引き返せない、戦慄の暗黒ミステリ!
引用元:新潮社
【火のないところに煙は】怖いけど、実話?
本作は実話ではありません。モキュメンタリーです。
部分的に実話はある!
ただ、全てが創作という訳でもないようです。
調べてみたところ、実話が元になっている部分もあるようですよ。
例えば、小説新潮から依頼されて怪談話を書くことになった経緯や、作者さんが2度車に惹かれそうになったのは実話なのだとか……!
ここ数日怪談を書いているんだけど、なぜか立て続けに2回車に轢かれかけていて(突然車が赤信号をぶっちぎってきて、えっ! と思ったら、えっ! という顔をした運転手とガラス越しに目が合った。2回とも)このまま続きを書いてもいいものかどうか迷う……
— 芦沢 央(あしざわ・よう)6/19『魂婚心中』発売 (@AshizawaYou) September 27, 2017
少し怖いですよね。
これは偶然ですが、「少し前まで、神楽坂によく当たる噂の占い師がいた」そうです。
これには流石に作者さんもジワジワと怖くなったのだとか。
ほかにも「宗教団体」や「精神的に参ってしまっている人」の描写がリアルでした。
観察力がすごい……!
【火のないところに煙は】榊は実在する?
榊桔平は実在しません。
榊が『火のないところに煙は』の後書きを担当しているので、実在の人物なのだと思ってしまいますよね。
事実、他の書籍で榊桔平が書評を担当していたり、新潮社の著者一覧ページに榊桔平の名前が載っています。
何故そういった記録が実在するのかというと、本作のジャンルである「モキュメンタリー」とはそういうものだからです。
“あたかも実話のように見せかける手法”なのです。
私も騙されてしまったうちの一人です。
他には例えば、同ジャンルの『かわいそ笑(梨著)』『変な絵(雨穴著)』なども、現実とリンクしている要素があります。
緻密に用意してから、小説が発行されたということなのです。作品への熱や愛が伝わってきますね。
【火のないところに煙は】榊は最後どうなった?考察
榊は元気です。通信危機を持たずに遠方の取材に行っているのだと思います。
一見、連絡がとれなくなった=死亡フラグのように感じますね。
しかし本書の冒頭に「取材で、いつ連絡がとれるか分からなくなることがある」とあることから、
“実は何ともない”という伏線になっていると思います。
二度目読み直した人はホッとしたのではないでしょうか。
飄々としている榊さんらしいと思いました。
【火のないところに煙は】まとめ
今回はモキュメンタリー小説『火のない所に煙は』について考察してみました。
- 実話?……実話ではない。モキュメンタリー。
- 榊は実在する?……実在しない。架空の人物。
- 榊は最後どうなった?……おそらく無事。
という結果となりました。
「火のない所に煙は立つ」とゾッとさせられる怪談話でした。
以上、ご参考になりましたら幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。