【考察・解説】お前の死因にとびきりの恐怖を

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小説『お前の死因にとびきりの恐怖を』についてです。

梨先生の待望の新作です。

田舎の進学校を舞台に繰り広げられるモキュメンタリーホラーです。

本記事ではネタバレありで考察・解説していきます。
数ある考察のうちの1つだと捉えてお楽しみいただければ幸いです。

最後に感想も合わせてご紹介していますので、もし気になる方はぜひご覧くださいませ。

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【お前の死因にとびきりの恐怖を】作品情報

作品名「お前の死因にとびきりの恐怖を」
著者梨(なし)
発売日2024年8月7日
ページ数256ページ
出版社イースト・プレス
<モキュメンタリーホラー小説「穢れた聖地巡礼について」の作品情報>

【お前の死因にとびきりの恐怖を】登場人物

筆者…文芸部生徒。謎のUSBについて調査している。

永井理生(ながいりお)…某高校の元生徒。元帰宅部。

乃原悠真(のはらゆうま)…某高校の元生徒。自死した。

それぞれの章のタイトルの意味は?

1章:REPLAY…再生する、再演

2章:REWLITE…書き直す

3章:REPRACE…交換する、置き換える

4章:RELOAD…再読み込み、更新

5章:REVIWE…再調査、再考察

6章:RELIVE…追体験する

7章:REPLAY…再生する、再演

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つまり、どういう意味?解説

その森林には、元々「怖い噂」がありました。

周りの土地は早い段階で開拓が進んだのに、森林はそのままだったのは妙な噂が原因でした。
例えば“行方不明者が出た”など。

しかし公的な事件の記録は一切ありません。

校舎が立ったあとは、学校の怪談話が囁かれるようになります。

その土地は、精神に異常をきたし、霊が視える精神状態にしてしまう(霊感ともいう)現実感の薄い場所でした。

通常はそういった場所を本能的に避けますが、元々不安定(自己肯定感の低さ・奇死念慮)だった場合は自ら恐怖を求め、ついには自死に至ってしまいます。

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筆者は誰?考察

「筆者」とは、本書『お前の死因にとびっきりの恐怖を』の章1~7の各取材・考察・執筆をした人物を指します。

筆者の人物像については、以下になります。

  1. “男子生徒自殺事件”より後の世代(文芸部)
  2. 奇死念慮のある人物

1:“男子生徒自殺事件”より後の世代(文芸部)

筆者は、2017年(永井理生が転校した年)より後の世代の文芸部生徒だということが分かります。

 私たちの世代は、同じ学校の生徒が亡くなったなどという情報に、当然ながらまったく覚えがありませんでした。

引用元:「お前の死因にとびきりの恐怖を」│梨

筆者は、文芸部の部室で見つかった「謎のUSB」の内容について気になり調査を始めました。

2:奇死念慮のある人物

筆者は、奇死念慮のある人物だということが分かります。

 あまりにも理不尽な恐怖やストレスに曝された人が、今置かれている状況に急造の「安心感」を付与するために、そうやって自分自身を嘲笑するような精神状態になることは、たまにあるらしい。(一章「REPLAY」より)

 そういった人間がたまにいることを、筆者は知っている。
 だから今もこうして、筆を執っているのだから。

引用元:「お前の死因にとびきりの恐怖を」│梨

例えば、“合唱部の生徒たちが、倉庫(基地)で自傷をしていた”という解釈には違和感が残りますね。

何故なら、ファンデやパウダーと共に入れられていた「カミソリ」は眉毛を整えるのに使うし、「カッター」も文房具のなかでは代表的なもの。
通常なら過敏に反応するアイテムではありません。

さらに、仮に自傷に使用していたとしたら、わざわざインタビューでおおっぴらにしないでしょう。

「あんないつ行っても血の匂いのするところ……」というのは、自殺現場に使われそうな表現です。

薬OD(オーバードーズ)やLSD(かみ)という単語についても、一般的な高校生は知らない単語です。

まさに「実質のない噂」が生まれています。

筆者が本調査に乗り出したのも、おそらく“自己肯定感の低い奇死念慮がある”人物だからこそで、

理生と同じ末路を辿っていることが分かります。(死者を”かわいそう”にして本にする)

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理生は死亡?どうなった?考察

2017年、名簿から消されたために「転校」と判断されたのでしょう。

理由としては、幾度となくそれを匂わせる説明があったからです。

例えば、

先述のこともあり、生徒も詳細は聞かされておらず、「学校にこなくなったと思ったら次の年には名簿から名前が無くなっていた」という状態だった。

引用元:「お前の死因にとびきりの恐怖を」│梨

などです。

筆者はどうなる?「暗い景色」考察

筆者も在校生であるということは、引き続きシステムとしての怪異に影響を受ける可能性大です。

(暗い景色)……という妙な単語が時々挟まっていることからも、まともな精神状態ではないことが明らかです。

なぜ遺言が残ってなかったの?考察

そうでなければ、わざわざそのテープを資料に残す意味がないからです。

嘘の遺書を残したければ、むしろ無いほうが(処分した、などとする)好都合です。現に残したことで信憑性が薄まりました。

遺言を”きれいに”まとめた可能性はありますが、

彼女からしてみれば、あらかた書き起こしただけだったのでは。

わたしたちにその鳥のさえずりしか聞こえないのは、怪異の影響を受けていないからで、

やがて追い詰められたとき、そこに声を見つけるのかもしれませんね。

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【お前の死因にとびきりの恐怖を】ネタバレ感想

恋愛小説としても楽しめる!

モキュメンタリーホラー小説を読み終えたというよりは、恋愛小説を読んだあとのような読後感でした。

まさかこんな気持ちにさせられるとは。目頭熱くなりました。

タイトルや表紙に込められた願い……切ないです。

本来は明るい物語を書くのが好きだった彼女の必死の抗いでした。

センシンティブなテーマ

センシンティブなテーマを扱った作品でした。

自死について、

「頑張って生きたことを誉めて称えてあげる」のはとても良いことだと思いました。

「頑張って生きてるね」、て生きてるときにも声かけてあげたいですね。

だれかにそう言ってもらえたらとても癒される気がします。

結局は、最後の物語についても筆者の考察による小説なのだと思うと、

今を必死に生きている筆者の姿も垣間見えて、より切なくなりました。

学生ってエモいですよね。

思春期の情緒不安定さと、怪異が相まって独特な空気感でした。

まんまと「かわいそう」という感情を……抱かされました……

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【お前の死因にとびっきりの恐怖を】考察・解説・感想まとめ

今回はモキュメンタリー小説『お前の死因にとびっきりの恐怖を』についてまとめてみました。

  • つまり、どういう意味?…怪異によるDV。
  • 筆者は誰?…奇死念慮のある文芸部の学生。
  • なぜ遺言聞こえない?…怪異による影響によるもの。

などという結果となりました。

前半と後半でまったく違う雰囲気なのが面白いですね。

前半あってからこそですが、とくに後半が好きです。美しい物語でした。

本作も梨先生の才能が光る作品でした。

次回作も楽しみに待ちたいと思います。

ご参考になりましたら幸いです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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