考察『六人の嘘つきな大学生』最後の二重丸の意味は?波多野が好き?ネタバレ注意

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ミステリー小説『六人の嘘つきな大学生』についてです。

著者は『フラッガーの方程式』『家族解散まで千キロメートル』などで知られる浅倉秋成(あさくらあきなり)さんです。

各種ミステリ・ランキングにランクイン・『ブランチBOOK大賞2021受賞』を受賞しました。

映画化も決定し、世間からの注目が集まっています。

ということで、本記事では、

についてまとめていきたいと思います。
ご興味のある方は、ぜひ最後までご覧くださいませ。

本記事はネタバレを含みます。

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『六人の嘘つきな大学生』の主な登場人物・大学

波多野祥吾(はたのしょうご)
立教大学で経済学を学んでいる。
一見好青年。

嶌衣織(しまいおり)
早稲大学で社会学を学んでいる。
清純派女優系の美女。「洞察力があり、自己分析に自信がある」としている。

九賀蒼太(くがそうた)
慶応大学の総合経済学部。
容姿端麗。リーダー気質。「フェア」が好き。

袴田亮(はかまだりょう)
明治大学。
高校時代に野球のキャプテンを務めていた。ムードメーカー的存在。

矢代つばさ(やしろつばさ)
お茶の水大学で国際文学を学んでいる。
モデルさながらの美女。その美しさから虐めにあっていた。

森久保公彦(もりくぼきみひこ)
一橋大学。
秀才。母子家庭。

泣きボクロの就活生
「洞察力があり、自己分析に自信がある」としている少女。

相楽ハルキ
歌手。薬物問題で炎上した過去がある。

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『六人の嘘つきな大学生』のあらすじ・ストーリー

成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を空けると「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。彼ら六人の嘘と罪とは。そして「犯人」の目的とは――。

KADOKAWAオフィシャルサイト

『六人の嘘つきな大学生』で最後に二重丸をつけたのはなぜか考察

なぜなら、これまでの嶌だったら、欠点が目につけば「駄目な人」と判断していたからだ。
つまり、“月の裏側一部分が見えたとたん、全てのイメージが塗り替えられてしまう”のだ。


例えば、これまで嶌が担当する就活生の採点用シートには「1」ばかりが並んでいたのがそれにあたる。

しかし最後。泣きボクロの女子就活生の場合には、同じように「×」になったにも関わらず、ギリギリで「◎」に覆った。

これは、波多野の働きかけにより、“人には良い部分と悪い部分が共存している”と柔軟な思考をもてるようになったお陰だと思う。腹黒いと弄られていた彼の本性が見え、それでも自分を犠牲にしたという事実を認めたときに、再び人を信じられるようになったのだろう。

つまり、月の裏側の裏側(=表側)を見れるようになったということなのだ。

以上のことから、「嶌が二重丸をつけたのは、一部分で人を判断せず、再び人を信じられるようになったから」と考察した。

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『六人の嘘つきな大学生』嶌は波多野のことを好きだったのか考察

この点に関しては、波多野の妹と嶌の会話から明らかにされている。

「あんなのほとんど好きな人投票みたいなものじゃないですか。好きだから票を入れちゃうんですよ。『あなたは優秀だと思う』と『あなたが好きです』の境目って結構曖昧ですよ」

小説『六人の嘘つきな大学生』│浅倉秋成

さらに、この波多野の妹のセリフに対し、嶌は内心で「本当に鋭い考察だ」と唸っているのだ。


例えば、嶌が好きな波田野は、嶌に投票を入れ続けていた。
同様、嶌は久我に投票を入れ続けていた。

つまり、“仕事はコミュニケーション力が全て”とはよくいうが、チームディスカッションは事実上「人気投票」だったのだ。


因みに、久我は「波多野にも非道があった」と言ってはいるが、なかでも「選ばれる1人に相応しい」と認めていたのは波多野だったということも分かる。

何故なら、一回目の投票で、久我は波多野に投票しているからだ。

以上のことから、「嶌は久我が好きだった」と考察した。

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なら、なぜ「好き」だと言ったのか?

「人として好き」という意味だと考察できる。

前述したように、少なくとも嶌にとっては、ただの好青年より、腹黒さを押し殺して好青年を演じていた波多野のほうが魅力的に感じられたのだと思う。

何故なら、嶌は散歩サークル内では「腹黒大魔王」というあだ名で通っていた。
散歩サークルのサイトで、そのあだ名を知った嶌は「らしくないあだ名」と考えていた。

しかし、貸しロッカーの底には、波田野の「月の裏側」が隠れていた。
それを見つけた嶌は、波多野のことを「腹黒大魔王」と認めた。その直後に「好きだった」という感情が芽生えたのだ。

彼のひとつひとつの行為が、いじらしく思い出されたのかもしれない。

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『六人の嘘つきな大学生』最後の二重丸の意味は?なぜ波多野が好き?など考察まとめ

今回はミステリー小説『六人の嘘つきな大学生(浅倉秋成著)』について考察してみました。

  • 最後に二重丸をつけたのはなぜ?…人を信じられるようになったから(“月の裏側の裏側=表面”を見れるようになったから)。
  • 波多野のことが好きだったの?…嶌が好きだったのは久我。

という結果となりました。

ご参考になりましたら幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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