映画『悪い夏』を観た人の多くが気になるのが、最後(ラスト)の意味です。
「佐々木は『ただいま』てどういうこと?」
「傘の意味は?」
「原作と映画では結末が違うの?」
本記事では、これらについて深堀り考察しています。
分かりやすくまとめていますので、どうなったのか気になる方はぜひご覧くださいませ!
以下、ネタバレが含まれますのでご注意くださいませ!
【悪い夏】主な登場人物とキャスト一覧
- 佐々木守/北村匠海:本作の主人公。ケースワーカーとして真面目に働いている。
- 林野愛美/河合優実:シングルマザーで、生活保護受給者。不正受給していたことをケースワーカーの高野にバレて、脅されている。
- 林野美空/佐藤恋和:愛美の娘。部屋で絵を描いていることが多い。
- 金本龍也/窪田正孝:ヤクザで、多くの悪事を働いている。
- 莉華/箭内夢菜:龍也の女。シングルマザーで、子供を親に預けている。
- 山田吉男/竹原ピストル:佐々木が担当している生活保護受給者。不正受給している。
- 宮田有子/伊藤万理華:佐々木の先輩。正義感が強め。
- 高野洋司/毎熊克哉:佐々木の先輩。林野愛美を脅して言いなりにさせている。
- 古川佳澄/木南晴夏:シングルマザーで、息子とのふたり暮らし。夫に先立たれ、苦しい性格を強いられている。
【悪い夏】最後の佐々木のただいまの意味は?ネタバレ考察・解説
佐々木の「ただいま」という言葉は、家で待つ愛美と娘(美空)の存在を予感させます。
以下、伏線と共に振り返りながら解説していきます。
- 傘が同じ
- 佐々木は子供好き
- 1枚の絵が意味するもの
1.傘が同じだから
黄色い柄物の子供の傘は、愛美と美空がふたり暮らししていた部屋の玄関に置いてあった傘と同じに見えます。
具体的例をあげると、映画開始から37分くらいのときに映っています。
この伏線からは、主張しすぎないけれど、「そこに愛美と美空がいるよ」というさりげないメッセージが感じ取れます。
2.佐々木は子どもが好きだから
佐々木は子どもが大好き!
佐々木が愛美と距離を縮めたのも、美空ちゃんがきっかけです。
クレヨンをすぐ買ってくるし、「愛情をもって接してあげてください」「天使ですよ」など愛情深いセリフをかけています。
警察に生活保護申請に訪れた女性について記憶があるか尋ねられたときにも、最初は保身で素知らぬふりをしていました。
……が、自殺未遂の事実を聞かされたとたん、「子供はどうなりましたか?」と動揺。
さらに心中を図ったと聞かされると、静かに涙を流しています。
最後に金本に襲い掛かったのも、美空を守ろうとしたように見えます。
こんな佐々木ですから、おそらくあの状態になった美空を放っておけないでしょう。
ちなみに愛美を許せたのか?――という疑問ですが、佐々木が「一緒に死ぬべき」と誘ったときにOKしていますし、金本に殺されるところを助けてくれたのも愛美。
高山に対しても脅されて仕方なく言いなりになっていたことから、理解して許せたのではないでしょうか。
一度は愛した女性ですから。
ちなみに愛美の傷害は、一連の事件の新聞紙に名前がなかったことから、「自己防衛」と判断されたと考えられます。
3.絵にメッセージ性があるから
最後のほうに、1枚の絵が登場します。
佐々木が金本にがやられそうなところ、金本の顔面にはりついて彼の視界を奪った絵です。
この絵は、美空が書いたもので「愛美・佐々木・美空」のスリーショットでした。
普段はぐちゃぐちゃ塗ることしかできなかったけれど、3人でいたときは心が落ち着いていたのです。
とにかく、美空がこの絵を書いていたお陰で、3人は命をとりとめたのです。
美空の夢や希望が、金本を追い詰め、再び3人を結び付けたという感動的な演出なのではないでしょうか。
これらのことから、「ただいまは、3人が暮らしているという意味、傘は美空ちゃんの」という考察結果となりました。
玄関で妊婦さんとすれ違っているのも、温かな未来を連想させますね。
【悪い夏】最後はどうなった?映画と原作の結末を比較!ネタバレ解説
次に、佐々木らそれぞれのについて、映画と原作の結末違いを見ていきましょう。
佐々木の最後(その後)
映画:オフィスビルの清掃員となる。最後の争いの後遺症で片足を引きずっている。
原作:生活保護受給者となり、ケースワーカーの訪問に怯えている。
愛美と娘の最後(その後)
映画:最後(その後)の直接的な描写はない。
佐々木が「ただいま」と言って自分で鍵を開けていることから、共働きしている可能性も。
原作:最後(その後)の直接的な描写はない。
争いが起こったとき、母親が目の前で蹴られ、娘ははじめて声をあげて泣いた。
宮田の最後(その後)
映画:引き続き、元の職場に勤務している。新しい生活を始めるために高野の出所を待っている。
原作:最後(その後)の直接的な描写はない。
莉華の最後(その後)
映画:争った際に脇腹を包丁で刺されたものの、パチンコ打てるまで回復している。
しかし傷はまだ痛むよう。
原作:最後(その後)の直接的な描写はない。
争いの最中、傷の手当ができるところへ運ばれたが、目を覚ましたという描写はなかった。
金本の最後(その後)
映画:あらゆる罪により、実刑判決が出て裁判中。
原作:最後(その後)の直接的な描写はない。
争ったときに警察が到着しているので、捕まった可能性が高いと思われる。
高野の最後(その後)
映画:不同意性交罪などにより、刑務所入り。
原作:最後(その後)の直接的な描写はない。
争ったときに警察が到着しているので、捕まった可能性が高いと思われる。
山田の最後(その後)
映画:麻薬取締法違反などの疑いで追われている。現在逃亡中。
原作:最後(その後)の直接的な描写はない。
しかし、争いの時点で死にかけており、その時点で救急車も到着していないため、亡くなっている可能性が高いと思われる。
原作版はバッドエンド寄りですが、映画版のほうが希望がもてるラストとなっています。
【悪い夏】最後の佐々木の「ただいま」と傘の意味などネタバレ考察まとめ
今回は、映画『悪い夏』の最後について考察してみました。
ラストに描かれた佐々木の最後の「ただいま」と傘のシーンは、3人が共に暮らしているという意味が込められていました。
一方、原作小説では、映画の希望のもてるラストとは異なり、残酷な結末となっています。
それぞれの良さがあり、この作品を見る人の立場・環境によって受ける印象は大きく変わることでしょう。改めて、人生や生き方について考えさせられますね。
最後までご覧いただきありがとうございました。