映画『ゴジラ-1.0(マイナスワン)』を観たあと、あなたはきっとこの2つの核心的な疑問に突き当たったはずです。
- 「黒い雨」の正体は? 史実の描写との関係は?そしてゴジラ細胞との関連は?
- 命懸けの作戦成功後、なぜ彼らは「敬礼」をしたのか?その意味とゴジラの目的は?
本記事は、『ゴジラ-1.0』に隠されたこれらの深い謎と伏線を、映画内の描写と史実に基づいて徹底的に解説・考察します。
(※本記事は映画の核心に触れる内容を含みます。ネタバレにご注意ください。)
『ゴジラ-1.0』黒い雨の正体は?

- 「黒い雨」の正体
- 史実の「黒い雨」
黒い雨の正体は「放射性物質・炭・油煙」の混合物
『ゴジラ-1.0』に登場する黒い雨の正体は、「不純物が混じった雨」、すなわち「放射性物質」「火災による炭の粒・油煙」などが混じり合った混合物だと考えられます。
ゴジラの放射能ビームによって周囲の建物や物質が燃焼・蒸発し、それが大気中で冷やされ、放射能を帯びた「油っぽい雨」として降り注いだためです。
黒い雨の正体は「不純物が混じった雨」だと考えられます。
史実の「黒い雨」が持つ悲惨な意味
作中に登場する黒い雨は、日本の史実が参考にされています。
1945年、広島と長崎に原爆が投下された際にも、同様に油っぽい「黒い雨」が街に降り注ぎました。
この雨を浴びたり飲んだりした人々は、髪の毛が抜けたり、血便、吐血など、筆舌に尽くしがたい深刻な放射線障害に悩まされました。
ゴジラが放った黒い雨は、人類が経験した最大の悲劇を想起させる、戦争と核の恐怖の象徴として描かれていることが分かります。
黒い雨に含まれる「ゴジラ細胞説」の可能性
ラストシーンで典子の首に残された黒い痣は、山崎監督によって「G細胞」だと明言されています。つまり、典子の体外、あるいは体内に G 細胞が入り込み、それが原因で彼女は生還を果たしました。
ゴジラの放射能ビームが原因である黒い雨には、微量のゴジラ細胞(G細胞)が含まれていてもおかしくありません。
「黒い雨」の関連作品:原爆の悲惨さを伝える『はだしのゲン』
名作『裸足のゲン』は、当時を生き抜いた作者の実体験が基にされており、原爆の悲惨さがストレートに伝わる内容です。
内容が過激だとして、一部の市の小中学校で閲覧制限がかかりそうになった経緯もありますが、戦争の記憶を学ぶ上で重要な作品として、興味を持った方にはおすすめしたい作品です。
関連作品:『合本版 はだしのゲン①~⑦ (中公文庫コミック版)』
映画『ゴジラ-1.0(マイナスワン)』に登場する軍艦・戦艦を一覧で徹底紹介!重巡洋艦「高雄」や、終戦を生き抜いた4隻の駆…
最後に「敬礼」をした理由とは?
そもそも敬礼とは、「敬意」や「忠誠心」を示すための動作です。

敬礼をした理由として、「武士道の精神」「故人への追悼」が考えられます。
- 理由1:「武士道」の精神によるもの:「武士道」には、「敵を尊敬する」という思想があります。
すなわち、「敵兵も国のために正々堂々と戦った」という、相手の背景を汲む考え方。
本作のゴジラは、人類に悪意があったというより、ただ生き延びようとしていただけに見えます。 - 理由2:ゴジラの犠牲者となった人々への追悼:もう一つは、「戦争により命を落とした全ての人々への追悼の意」です。戦争に勝利したとしても「ハッピーエンド」はありません。彼らに笑顔がないのは、作戦の成功に安堵しつつも、目の前にいない多くの故人たちを見つめていたのかもしれません。
敬礼がもつメッセージを読み解くことで本作の理解が深まります。
敬礼には「敵(ゴジラ)への経緯」「犠牲者への追悼」の意味があります。
敬礼の起源とは?
日本のお辞儀も敬礼の一つですが、軍人の敬礼の起源は、中世ヨーロッパの騎士の習慣から生まれたといわれています。
騎士たちが自分のヘルメットのバイザーを持ちあげる動作が由来であり、相手に身分を証明し、武装していない安心感を与える目的がありました。これらの動作が変化し、現代の敬礼の形になったといわれています。

時代や国境を超えて現代の日本に受け継がれたこの動作が、命がけの作戦のラストシーンで使われたことで、その感慨深さが一層強まるといえるでしょう。
『ゴジラ-1.0』に登場するゴジラの目的とは?
結論:明確な目的は不明だが「核・破壊への渇望」の象徴
映画『ゴジラ-1.0』に登場するゴジラの目的は、作中で明確には語られていません。
しかし、過去のゴジラシリーズの背景や作中の描写から、以下の目的が象徴されていると推測できます。

- 「人間への報復」と「闘争本能」:ゴジラは、人間たちが生み出した災厄のメタファー(象徴)として描かれてきました。 それは、小説『フランケンシュタイン』に登場する怪物が、人間によって造り出され、迫害され、復讐する構造と似ています。ゴジラもまた、人間たちに攻撃される孤独な怪物であり、「ニンゲン ヲ ハカイセヨ」という使命が遺伝子レベルで刻まれているという解釈が成り立ちます。
- 「核エネルギー」への渇望:山崎貴監督が熱心なゴジラファンであることや、本作のゴジラが強力な放射能ビームを出す描写から、「核」が絡んでいる背景は強く読み取れます。
初代ゴジラ(1954年)が「水素爆弾の実験」によって生まれたように、核エネルギーを求めて行動している、あるいは核そのものを体現していると考えられます。
【背景知識】過去作品から見るゴジラの起源と目的
過去のゴジラ作品において、ゴジラの行動原理は一般的に「人間への報復」「帰巣本能」「闘争本能」「核を求めている」とされてきました。
ゴジラの起源は、1954年の初代ゴジラに遡ります。初代は「水爆実験」によって怪物として誕生し、1995年の次作では、「水爆実験(原爆を用いた爆弾)」により2代目ゴジラとして蘇っています。
ゴジラが「人間たちが生み出した災厄」の象徴であるというテーマは、シリーズ全体を通して一貫しています。
【関連記事】
まとめ:黒い雨と敬礼が示す『ゴジラ-1.0』のテーマ
本記事では、映画『ゴジラ-1.0(マイナスワン)』における黒い雨の正体とラストシーンの敬礼が持つ意味を中心に徹底考察しました。
制作陣が込めたメッセージや伏線は、主に以下のポイントに集約されます。
- 黒い雨の正体…ゴジラの放射能ビームによって生じた、放射性物質や油などの不純物が混じった雨。史実の悲劇とゴジラを重ねる強いメッセージが込められています。
- 軍人たちが敬礼をした意味…強大な敵(ゴジラ)への敬意と、ゴジラの襲来によって失われた数多くの犠牲者への追悼の意。
- ゴジラの目的…人間への報復、あるいは核エネルギーを求めているという説があり、戦争と核の恐怖の象徴としての役割を担っています。
『ゴジラ-1.0』は、その圧倒的パワーと複雑な背景が、熱烈な人気の秘訣といえるでしょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。
