小説『変な家2』についてです。
本書は、原作者雨穴さんのYouTube動画「行き先のない廊下」の続きが書籍化された作品です。
発売時点で350万再生されている人気動画の行方はいかに…?
人気シリーズ第三作目『変な家2』には「変な間取り」が11つも登場します。
ボリューミーで満足感のある作品です。
読後には、やはり謎が浮かび上がります。
ということで、
「『変な家2』は実話なの?」
「義足とヤエコの死の真相は?」
「ミツコはたくらみペッパーガールの読者だったの?」
について考察していきたいと思います。
気になった点について分かりやすく解説していますので、もしご興味のある方はぜひご覧くださいませ。
以下、ネタバレを含みます。
小説『変な絵2』読後にご覧になることをお薦めします。
【変な家2】主な登場人物
■栗原(クリハラ)…設計士。ホラーやミステリー愛好家。雨穴の相談相手。
■ヤエコ…かつて、宗教の御神体として活動していた。左腕と右脚がない。
■ヤエコの娘…ヤエコの娘。幼いころから性的虐待を受けている。
■美津子(ミツコ)…ヤエコの孫。ヒクラ家のお嬢様。
■シオリ…ミツコの友達。貧しい。
【変な家2】実話?
『変な家2』は実話ではありません。
本書はホラー小説です。
本書のラストに「この物語はフィクションです」と明記されています。
【変な家2】ヤエコは自殺?事故(他殺)?考察!(ネタバレ注意)
ヤエコは自殺の可能性が高いです。
以下、解説していきます。
- ヤエコは杖を持っていなかった
- ヤエコが進んだルート
- ヤエコはトイレに行きたかったのか?
- 「義足を隠して」とミツコに頼んだ意味とは
考察1:ヤエコは杖を持っていなかった
シオリが「ヤエコは杖を盗まれていたのでは…」と推測していることから、当日にヤエコが杖をついていなかったのは明らかです。
そもそも、普段から杖自体持たせられていない可能性が高いです。
何故なら、この家は「ヒクラ家の人間が、手を汚さずにヤエコを始末するために作られた家」だからです。
ヤエコの部屋には窓がありません。何故なら、“用済みの御神体”を外の人々に見られたくないからです。
よって、ヤエコは自由に出入りできません。
事実、ヤエコは一階のリビングに降りることはせず、「2階の部屋で」食事をとっています。
つまり、杖を与えず、エレベーターなしの二階の部屋に閉じ込めることで、実質、ヤエコを監禁していたのです。
考察2:ヤエコが進んだルート
上記はヒクラ家の2階の間取りです。
お祖母さんは、右側の壁に手をついて、階段のほうへ向かって、今にも倒れそうに歩いていました。たぶん足が悪かったんだと思います。
小説『変な家2』雨穴
まずは、壁に手をついてここまで進むことになります。
普通はここが待機位置となりそうなものです。
が、ヤエコは階段から落下して死亡しているので、さらに進んだということになります。
ヤエコは右脚の付け根から義足です。杖もありません。バリアフリーでもありません。
つまり、ヤエコが義足も杖もなしで進むには、ここから先は“腰を下ろして片手とお尻を片足を使って進む”しかありません。
ケンケンして進むわけにはいきません。
考察3:ヤエコはトイレに向かっていたのか?
ヤエコはわざと転落した可能性が高いです。
心理的には壁をつたいたいはずです。
仮にこう進んだとします。
そうなると、シオリがドアを開けるタイミングと被る可能性があります。
さらに、シオリがドア開けるときに驚かしてしまうかも…と遠慮するはずです。
そこまで進むよりは、一歩前の位置で待機することを考えるのが自然です。
しかし、階段から転落しているので、↑ここで待機していた可能性はありません。
これらのことから、シオリがトイレに入っているうちに転落したとなると、以下のルートで進んだ可能性が高いです。
腰を下ろしている状態で階段から転落していくというのは考えずらいですよね。
ヤエコは階段を降りようとした訳でも、ドアを開けようとした訳もありません。
これらのことから、
恐らく、ヤエコは「トイレのために部屋を出た」のではなく、元々「自害するつもりで部屋を出た」のではないでしょうか。
だからシオリに「先へ行って」と促したのです。
ミツコが起きたタイミングで部屋を出て(ミツコのアリバイ確保)、そのまま「音もなく」直進し階段から転落したのです。
考察4:「義足を隠して」とミツコに頼んだ意味とは
ヤエコに自害を促すためです。
以下、解説していきます。
そもそも、ヤエコの義足を隠したからといって、100%階段から落下して死亡すると思っているとしたら、浅はかですよね。むしろ落下しない確率の方が高いと思います。
つまり「義足を隠してほしい」というお願いは、
ミツコの最初の方の推測通り「自殺してくれ」とヤエコに訴えかけるためだったのです。
私の部屋と、おばあちゃんの部屋は、壁を隔てて隣にあります。きっと、父の言葉は聞こえていたはずです。いえ……というより、父はおばあちゃんに聞かせるために、わざとあの場所で「お願い」をしたんです。あれは私ではなく、おばあちゃんへの懇願だったんです。もし背いたり、失敗すれば、孫がどんな目に遭うか分からない。だから…死んでくれ…って。
小説『変な家2』雨穴
ミツコが義足を隠そうか隠すまいが、最初からヤエコの意志次第と決まっていたのです。
「ミツコを守るためならヤエコは死亡するだろう」――そう確信したヤエコの娘に、ミツコは利用されたのです。
【変な家2】義足はミツコが隠したの?ネタバレ考察!
ミツコは義足をヤエコの部屋に戻したものの、
その後、ヤエコの娘の手(又は夫)によってクローゼットに隠された
と考察できます。
理由は以下になります。
後日、私は警察に呼ばれました。もっとも、何かを疑われているとか、そんなことは全然なくて、事故当日はどんな感じだったか聞かれただけでした。
小説『変な家2』雨穴
もし当日、ヤエコの部屋に義足がなければ、少なくとも「義足」について聞かれていたでしょう。
そして解決しなければ、「事件性あり」とみなされなければおかしいです。異様だからです。
虐待、他殺、盗難、これらの疑いがかけられなかったのは、
義足がヤエコの寝室にあったためだと推測できます。
「寝起きで、寝ぼけていたのね」で済まされたからなのです。
さらに、ミツコは「部屋を確認したら義足がなかった」としていますが、これもすぐに部屋を確認したわけではありませんでした。
“葬式のあとに久しぶりに探した”のです。
その間に、第三者の手によって義足をミツコのクローゼットに隠すことが可能です。
恐らくその第三者とは、ミツコの母です。
ミツコは「鍵のありかは自分しか知らないから、義足を戻したのは夢なんだ…」と自分を責めましたが、それは母の思うつぼです。
何故なら、クローゼットの合鍵がある可能性は十分にありますし、新たに作る方法もあります。
どちらに転んでも、ミツコが罪を被る仕組みになっていたのです。結果、ミツコは「私がおばあちゃんを殺した」という罪の意識を背負って生きていくことになりました。
【変な家2】ミツコは「たくらみペッパーガール」の読書だったのか?ネタバレ考察!
ミツコは「たくらみペッパーガール」の読者ではありませんでした。
ミツコの本棚(クローゼット)には「たくらみペッパーガール」はありませんでしたね。
このことはシオリが確認済みです。
さらに、その話題になるといつも聞き役に回っていたことから、ミツコは「たくらみペッパーガール」の読者ではなかったと推測できます。
なぜ話を合わせていたの?考察!
なぜ話を合わせていたかといえば、ミツコにとってシオリが唯一の友達で、共通の話題を作りたかったからだと思います。
ミツコが漫画「たくらみペッパーガール」を揃えられなかった理由は、
お嬢様だからということと、親におねだりもできなかったからです。
ミツコはご褒美と引き換えにされる「お願い」に怯えて暮らしていたのです。
なぜ陰口を言ったの?考察!
ミツコが新しいお友達を作るために必死だったからだと思います。
あの事故以来、シオリもミツコも、お互い罪の意識があったために、どんどん距離ができてしまいました。
ヤエコもシオリも失ったミツコは“孤独”だったのです。
だって、あの事故があった数か月後に私、聞いてしまったんです。ミツコちゃん、クラスで別の子としゃべっているとき、たしかにこう言ってました。
「漫画なんて読むわけないじゃん。だって、貧乏な子が読むものでしょ?」って。
小説『変な家2』│雨穴
上記の会話から、お友達からなにかを言われて否定していることが分かりますね。
父からのお願いも断ることができなかったミツコ。
シオリの趣味に合わせてしまったミツコ。
ミツコは相手と仲良くするために“相手に話を合わせてしまう”子なのです。
本記事では、『変な家』の原作者・雨穴さんの正体についてです。「経歴・素顔・性別・好きなもの・尊敬する人」などについて分り…
【変な家2】物語に登場する固有名詞は実在するの?
実在しません。
調べたところ、以下のいずれも実在しないことが分かりました。
- たくらみペッパーガール
- ヒクラハウス
- 再生のつどい
- ハウスメーカー美咲
「たくらみペッパーガール…」
読みたくなる漫画のタイトルですね(笑)
ヒクラハウスのモデルはシクラハウス?
「ヒクラハウス」のモデルは「シクラハウス」ではありません。
「シクラハウス」は存在するものの、ハウスメーカーではなく「ポップグループ」です。
実際に「シクラハウス ひどい」「シクラハウス ハウスメーカー」というサジェストワードが存在するので、勘違いしてしまいそうですよね。
ただ、同時に「シクラハウス 変な家」「シクラハウス 間取り」という関連ワードが出てきます(笑)。
このことから、『変な家2』読者勢が検索したものだということが分かります。
たまたま名前が似ていたので「もしかしたら…」と色んな人たちが検索をかけました。
【変な家2】感想レビュー「後味悪いけど…」
『変な家』のお陰で間取りに興味が出てきたという方も多いのでは。
筆者もその1人です。
新しい間取りが登場するたびにワクワクして、次のページへ進む前に、変な間取りはないかじっくり噛みしめることができました。
個人的には、「水車小屋」のからくりの話が好きでした。
昔の日本ならではのあの不気味で儚い感じは、唯一無二ですね。
それにしても、ヤエコの娘はすごく辛い人生でしたね。
しかしそれ以上に、ヤエコに同情してしまいました。
生涯が描かれていたからでしょうか…。
原作者・雨穴さんの「得体のしれない不気味さ」は癖になりますね。
決して後味が良いとはいえませんが、次作が出たら購入してしまうと思います。
“ヒトコワ”です!
【変な家】義足とヤエコ死亡/たくらみペッパーガール/実話/考察感想まとめ
今回は小説『変な家2』について考察してみました。
- 『変な家2』は実話なの?…実話ではありません。フィクションです。
- 義足とヤエコの死の真相は?…義足を返したものの、第三者の手によってクローゼットに隠された。ヤエコは自害するつもりで部屋を出て、転落死した。
- ミツコはたくらみペッパーガールの読者だったの?…読者ではなかった。
などという結果となりました。
あくまで一個人の考察となりますが、ご参考になりましたら幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。