今回は『変な家(原作小説)』についてです。
『変な家』の著者は、ミステリー系YouTuberの雨穴さんです。チャンネル登録者数117万人以上です。
そんな雨穴さんの人気動画のひとつ「変な家」が書籍化されたということで注目を集めました。発行部数80万部を超える大ヒットとなりました。
映画化を機に、筆者も書籍を手に取ってみたところ、テンポよくあっという間に読んでしまいました。
本作は読後に「あれ?」と疑問が残るラストですよね。
ということで本記事では、
「『変な家』の黒幕は誰?喜江?」
「最後の窓の意味は?」
「バラバラ死体は誰?」
などについて解説・考察していきたいと思います。
もしご興味のある方は、ぜひ最後までご覧くださいませ。
本記事には『変な家(原作小説)』のネタバレが含まれます。
読後にご覧になることをお薦めします。
↓映画はこちらです↓
本記事では映画『変な家』の「最後の意味」「原作との違い」「感想レビュー」について分りやすくまとめてご紹介しています。…
目次【変な家】あらすじ・ストーリー
知人が購入を検討している都内の中古一軒家。
開放的で明るい内装の、ごくありふれた物件に思えたが、
間取り図に「謎の空間」が存在していた。知り合いの設計士にその間取り図を見せると、
この家は、そこかしこに「奇妙な違和感」が
存在すると言う。間取りの謎をたどった先に見たものとは……。
不可解な間取りの真相は!?
突如消えた「元住人」は一体何者!?本書で全ての謎が解き明かされる!
飛鳥新社
【変な家】主な登場人物
■雨穴…主人公。オカルト専門のフリーライター。
■栗原…設計士。ホラーやミステリー愛好家。
■片淵柚季…相談者。姉を探している。
■片淵綾乃…柚季の姉。
■片淵喜季…柚希の母。
■片淵慶太…綾乃の夫。
■片淵美咲…柚季の叔母。
■片淵洋一(ようちゃん)…柚希の従弟。美咲の長男。他界している。
■片淵桃弥…美咲の次男。生まれつき左手首がない。
■片淵浩人…綾乃の長男。
■片淵重治…柚季の祖父。
■片淵文乃…柚季の祖母。
■片淵弥生…喜江の祖母。片淵分家の人間。
本記事では、『変な家』の原作者・雨穴さんの正体についてです。「経歴・素顔・性別・好きなもの・尊敬する人」などについて分り…
【変な家】そもそも実話なの?
『変な家』は実話ではありません。
実話なのか気になっている方が多いようですが、『変な家』は実話ではありません。
安心して読み進めてくださいね。
【変な家】黒幕は誰?
「左手供養」の黒幕についての解釈については、全部で3パターンあります。
- 黒幕は重治(手紙が真実)
- 黒幕は喜江(復讐、全て手のひら)
- 黒幕は喜江(復讐、そもそも手紙全てウソ)
一体、黒幕は誰なのでしょうか?
喜江?重治?慶太?
「左手供養」の大元の黒幕は「美也子(蘭鏡)」です。
本記事の黒幕は「2回目の左手供養」についてです。
1:黒幕は重治
まず一つ目は、慶太が手紙にしたためた内容通りの解釈です。
時系列で確認していきたいと思います。
↓
綾乃が「後見人」に選ばれる。
↓
綾乃と恋愛の末、慶太は片渕家に婿入りする。
↓
変な家をよそに建てて独立。
↓
遺体を探し、左手を切り落とすことで重治を欺く。
↓
新聞紙が原因で、左手の偽造が重治にバレてしまう。
↓
監視役の清次が、ムリヤリ桃弥を連れていかれそうになる。
↓
桃弥を守るため、慶太が殺人者となる。
手を下したのは慶太と喜江の夫です。
2:黒幕は喜江(全て手のひら)
一件落着したあとで、栗原さんが推理した内容が正しいという解釈になります。
喜江の祖母・弥生が、兄弟を殺された片淵本家に復讐を誓ったのが原因です。
喜江が手のひらで転がしていたケースです。
↓
喜江が復讐のために、片淵分家の男と結婚する。
↓
喜江の夫が洋一を殺害する。
↓
“罪悪感”と“後悔”から、喜江の夫がおかしくなる。
↓
喜江の夫が自害する。
↓
“美咲が左手のない赤ちゃんを妊娠した”という事実を伝え、重治と文乃に美咲を監禁させる。「左手供養」の開始。
↓
100名以上の子孫リストや、左手首のない死体遺棄の情報を直治に伝える。
↓
重治と清次をけしかけて、慶太に殺させる。
手紙の内容は事実。
全て喜江の計算の通り、という考えです。
手を下したのは慶太と喜江の夫です。
黒幕は、喜江を洗脳した弥生(喜江の祖母)ともいえますね。
3:黒幕は喜江(そもそも手紙はウソ)
慶太の手紙は喜江が偽造したもので、作り話(やましいことがある)という解釈です。
慶太の手紙は、柚季に説明するためのウソでした。
ウソつかなければならない理由としては、「復讐目当てで姉を売った」場合や、何かしらの細工で夫を殺害していた場合です。
↓
喜江が復讐のために片淵分家の男と結婚する。
↓
喜江の夫が洋一を殺害する。
↓
“罪悪感”と“後悔”又は“喜江の本来の目的”に気がつき喜江の夫がおかしくなる。
↓
喜江の夫が自害・又は喜江に殺される。
↓
重治と文乃・又は喜江が美咲を監禁する。「左手供養」の開始。
↓
慶太に重治と清次を殺させる。
手を下したのは慶太と喜江と喜江の夫です。
栗原さんは類をみない推理力の持ち主なので、2か3が正しいように思います。
雨穴さんのYouTubeをご覧になる方ならご存知と思います、栗原さんはいつも少ない材料から「スパン!」と推理し真実に近づくのです。
【変な家】真相は?考察
3:「黒幕は喜江(そもそも手紙はウソ)」の可能性が高いです。
理由は以下になります。
考察1:美咲を監禁した謎
美咲を監禁しなければならなかった理由が謎です。
美咲が監禁された理由として「左手首のない赤ちゃんを、人工中絶できなくするため」とあります。
しかしこれには矛盾が生じます。
『左手供養の教え五ヵ条』の内容は以下になります。
- 片淵家に左手がない子供が生まれたら、暗室に閉じ込めて育てる。
- 左手がない子供が10歳になった年、片淵清吉の血を引く人間を、その子供に殺害させ、左手を切り取る。
- 切り取った左手は、潮の仏壇に供える。
- 左手がない子供の兄か姉、それがいない場合は、親族の中で年齢が近い者に、後見役をさせる。
- この儀式は、左手がない子供が十三歳になるまで、一年に一度、必ず行う。
この左手供養の教え五ヵ条は“生まれたら”なので、そもそも“生まれなければ”これら一連の行為をする必要はありません。
それなのにわざわざ監禁するのは不自然です。
しかし、本当は監禁は祖父母(文乃・重治)ではなく、喜江の単独犯だったとするなら合点がいきます。
復讐を果たすためには「左手のない子」の存在が必要だったのです。
考察2:ドアが開いているのが都合よすぎる
宮江恭一の遺体を手に入れようとする際に、自宅のドアが開いているのが都合よすぎます。
「隣町の自治会長・宮江恭一が連絡なく会合に欠席したという情報を耳にした」→「家のドアは空いていた」とありますが、都合が良すぎます。
本当は彼も片淵本家の血を引く者で、当初の栗原さんの推理通り、例の部屋で殺されていた可能性があります。
考察3:二人の孫…?
最後のメールが変です。
最後に雨穴さんに柚季から届いたメール文を引用します。
現在、姉と浩人くん、そして桃弥くんは、母のマンションに身を寄せています。
引用元:原作小説『変な家』(柚季の手紙)より│雨穴
母は、二人の孫との生活が楽しいようで、以前よりも表情が明るくなりました。
二人の孫と…?
これはおかしいです。
何故なら「桃弥」は柚季から見ても喜江から見ても「孫」ではありません。
孫は「浩人」だけです。
桃弥は「いとこ」又は「甥」です。
どれくらいご無沙汰ぶりのメールなのかについて言及はありません。
なので綾乃さんがもう一人産んでいたとしても不思議ではないですね。
『左手供養』が終わったあと、片淵家が彼を生かしておく保証もありません。
引用元:原作小説『変な家』(慶太の手紙)より│雨穴
手紙が栄太のものという証拠がないのと同様、このメールも柚季のものという証拠はどこにもありません。筆跡もないことから、確認のしようがないのです。
一体「桃弥」はどこにいるのでしょうか…。
筆記ミスなのでしょうか…。
まさか同じ名前をつけたのでしょうか…。
うーん…
「孫のようにかわいがっている」と捉えたいですね!
【変な家】最後の窓の意味は?
窓から監視されていたのは「慶太」だったということです。
監視する人は「綾乃」しかいません。
ただ埼玉の間取りには「変な窓」の存在はないため、浩人が生まれたことにより、慶太に変化が生じたものと思われます。
綾乃が慶太を監視しなければならない理由ができたのです。
その理由としては、
・普通の家族になりたくなった。→浩人を連れて逃げようとした。
・桃弥が浩人に危害を与えそうで怖い。→慶太が桃弥を手にかけようとした。
などが考えられます。
重治が生きている限り、「左手供養」からは逃れられません。片淵家とはそういうものです。
そういった背景があったとすると、
桃弥がかいがいしく浩人の看病をしている姿を観て、慶太が涙を流して誤り、カッとなって清次たちを殺害してしまったシーンは、一層重みのあるものとなります。
【変な家】バラバラの遺体は誰の?
「左手供養」のための犠牲者です。
これが誰なのかは明確には記載されていないため、読者の解釈によるところとなります。
- 既になくなっていた遺体(片淵家とは関係ない人物)
- 栗原さんの推理通りに殺された遺体(借金のあったTさん)
- 栗原さんの推理通りに殺された遺体(片淵家の血を引く人物)
上記の三択になるでしょう。
【変な家】黒幕/喜江/最後の窓/バラバラ遺体について考察まとめ
今回は『変な家』黒幕や最後の窓などについて考察してみました。
ご参考になりましたら幸いです。
雨穴さんの物語のパターンは「起承転結転結」…と二回以上転がるのが魅力的ですね。
家系図は中々複雑でしたが、オカルトチックですごい物語だったと思います。
ご参考になりましたら幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。