映画『本心』最後の手の意味とは?ラストシーンの結末を徹底ネタバレ考察

石井裕也監督の映画『本心』についてです。

  • 最後の手(ラストの手)の意味は?
  • 母親(秋子)が自由死を選んだ理由は?
  • 主人公(朔也)は三好のことを愛していなかったのか?
  • 三好はなぜイフィーに触れることができたたのか?

映画と原作の両方を踏まえ、徹底考察しています。

※本記事はネタバレが含まれます。

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映画『本心』最後の手(ラストの手)の意味は?※ネタバレ考察

1.母への想い

朔也が、亡き母親に触れようと手を伸ばしたのだと思います。

朔也は、実体のない「VF」の母親に触れる勇気がありませんでした。本当はずっと触れたかったはずです。

映画『本心』の原作では、「宇宙」についての言及があります。
完結に説明すると、人々はみな宇宙から生まれ、亡くなったら宇宙の一部になるという考えです。

亡くなった母親はすでに宇宙の一部ですから、手を伸ばしたその先には母親がいたはずです。

2.三好の手

ラストに重なったのは、おそらく三好の手です。

理由は、それが若い女性の手で、手首に黒いゴムを巻きつけていたからです。(確かシャワーシーンでつけていたはず…)

たとえ別々の道を歩もうが、三好の気持ちもまた朔也の傍にあるようです。

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母親が自由死を選ん理由:「もう十分」だったから

母親・秋子の切ない表情
出典元:映画『本心』公式サイト

母親(秋子)が自由死を選んだ理由は、「もう十分だったから」

本作には「分人主義(ぶんじんしゅぎ)」というひとつのテーマがあります。

「分人主義」:夫や妻の前にいる自分、友人の前にいる自分、職場の自分――全ての人格が本当の自分”という考え方です。

母親が自由死を選んだのには、「息子の将来を案じた」というのもあると思われますが、なにより「死の一瞬前」に息子の母親でいたかったのだと考えられます。

主人公は三好を愛していたのか?

主人公・朔也は「本心」では三好を愛していたと考えます。

ではなぜ、朔也が「本心」を隠したのかといえば、イフィーや三好を失うことを恐れたからなのでしょう。

彼らは、朔也にとって、VFの母親との会話を忘れさせてくれた存在であり、心の支えです。

イフィーの元を去れば、学歴のない朔也が割りのいい仕事を見つけることは難しく、三好を幸せにできる保証もありませんでした。

結論、朔也にこの決断をさせたのは「世知辛い世の中」といえるでしょう。

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三好がイフィーの手に触れた理由は…?

三好の複雑な表情
出典元:映画『本心』公式サイト

三好がイフィーの手に触れることができたのは、イフィが「車イス(下半身不随)」だったからだと思われます。

三好が怖い目に遭わされたのは「力で敵わない男性」

三好が母親(VF)の手を握って話していたことから、恐怖の対象は男性に限定されると考えられます。

そして「腕力で敵わない男相手」

仮に、もし、イフィーと三好が取っ組み合いになったとすれば、恐らく有利なのは三好でしょう。無理強いされることはないはずです。

一方、三好の本心は……

実のところ、三好の本心は「イヤだった」「好きな人の顔を立てるために我慢した」のだと推測します。

三好がイフィーに触れたあと、ダンスのターンをして顔を背けている間に一瞬、顔を歪めて耐えているかのようなシーンがありました。

三好は朔也に惹かれており、安心できる男性もいることを信じることができたからこそ、前に進もうとしてイフィに触れることができたのだと感じられます。

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映画『本心』と原作の違い5選を解説【ネタバレ注意】

最後に、本作と原作の違いを解説します。

違い1.母親の自由死の認可について

  • 映画:母親が亡くなるまで主人公は知りませんでした。
  • 原作:母親が亡くなる前から知っていました。

違い2.主人公の過去について

  • 映画:退学。
  • 原作:自主退学。

クラスメイトの少女のために行動を起こす点では同じです。

違い3.母親の過去について

  • 映画:同性愛者の印象を受けます。
  • 原作:同性愛者という表現はありません。

個人的に、映画の母親の「私がダンスすると…」というシーンがお気に入りですが、映画オリジナルです。

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違い4.三好のキャラクターの印象

  • 映画:ぶっきらぼうな天然美人、という印象を受けます。
  • 原作:コミュニケーション力がある整形美人、という印象を受けます。

映画では「敬語を直しましょう!」と言うシーンが印象的ですが、原作の三好は初めからタメ語です。

違い5.キャラクターの有無

  • 映画:VF技術者の娘は、映画オリジナルキャラクターです。
  • 原作:母親のかかりつけ医やお気に入りの作家などが登場し、存在感を放ちます。
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まとめ:映画『本心』の最後の手(ラストの手)などネタバレ考察

映画『本心』についての考察をネタバレありでご紹介しました。

  • 最後の手(ラストの手)の意味は?:母親や三好に触れているということ。
  • 母親(秋子)が自由死を選んだ理由は?:もう十分だったから・息子の前にいる自分で終わりたかったから・幸せだったから。
  • 主人公(朔也)は三好のことを愛してなかったのか?:本心では愛していた。
  • 三好はなぜイフィの手に触れたのか?:イフィが車イスだったから・朔也に惹かれていたから。

ご参考になりましたら幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。

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