【ラストキング・オブ・スコットランド】実話と創作の境界線!アミン大統領の正体とは?

「映画『ラストキング・オブ・スコットランド』は実話なのか?」

本作は、実在のイディ・アミン元ウガンダ大統領と、彼が統治した恐怖の時代という史実に基づいたフィクション作品です。

どこまでが現実で、どこからが創作なのか? 映画の背景にある歴史の真実に迫ります。

本記事はネタバレを含みます。

スポンサードリンク

映画『ラストキング・オブ・スコットランド』の作品情報

作品名『ラストキング・オブ・スコットランド』
公開日(日本)2007年3月10日
制作国イギリス・ドイツ
監督ケヴィン・マクドナルド
原作『スコットランドの黒い王様(The Last King of Scotland)』

【主な登場人物】

  • イディ・アミン:ウガンダの大統領。
  • Dr.ニコラス:スコットランド人の医師。
  • ケイ・アミン:イディ・アミンの妻。
スポンサードリンク

『ラストキング・オブ・スコットランド』実話と創作の境界線

本作はイディ・アミン大統領の独裁政権という「史実」を基にしたフィクションです。

明確な違いは、主人公が架空のキャラクターである点です。

  • 実話: アミン大統領の残虐な奇行、30万人の虐殺、エンテベ空港ハイジャック事件
  • 創作: 主人公の医師ニコラス・ギャリガン(実在しません

【ラストキング・オブ・スコットランド】実話との違いと共通点は?

  1. 架空の人物:ニコラス・ギャリガン医師
  2. 実在の独裁者:イディ・アミン大統領
  3. 事実と異なる悲劇:ケイ・アミン大統領夫人の最期

1. 【創作された架空の人物】ニコラス・ギャリガン医師の役割

映画の主人公、ジェームズ・マカヴォイ演じるニコラス・ギャリガン医師は架空のキャラクター。アミン大統領の専属医師として仕える人物。

  • 事実: ニコラス医師は実際にアミン大統領と関わりを持った複数の欧米人たちをモデルとして、そのエピソードを統合して創作された架空の人物。
  • 映画での役割: ニコラスは、ウガンダの残虐な現実を外側から描き出す「観客の目」としての役割を担っている。

映画で描かれるアミン大統領と主人公の親密でドラマティックな交流は、物語を盛り上げるためのフィクションです。

「主人公は架空の人物だからこそ交流を深め、生き延びることができた」という製作者のメッセージが込められているのかもしれません。

スポンサードリンク

2. 【実在の独裁者】イディ・アミン大統領と描かれた史実

映画でフォレスト・ウィテカーが演じたイディ・アミンは実在の大統領です。

1971年から1979年までウガンダを統治しました。

  • 実在したカリスマ性: 映画ではカリスマ的でユニークな人物として描かれている。事実としてアミン大統領は強いカリスマ性奇抜な行動力で国内外の注目を集めた。
    映画でも描かれた「アジア人追放事件(1972年8月)」や、記者会見でのジョークを交えた振る舞いなどは、史実に基づいている。
  • 恐怖政治の真実: 彼の政権下では、数十万人もの国民が大量虐殺されたとされている。
    犠牲者の遺体をナイル川に投棄し、ワニの餌にしたという衝撃的な逸話が残されている。
  • 残虐な異名: 政敵の生首を冷蔵庫に保管した、人肉を囚人に食べさせたなどといった真偽不明の逸話から「人食い大統領」という異名がある(本人は菜食主義者だったとも言われています)。
    また、その残虐性から「ブラック・ヒトラー」とも呼ばれた。
ヒトラーの似顔絵

彼の政権時代は、映画以上に恐怖に満ちたものでした。

これらの逸話は、国際社会がアミンを『理解不能な怪物』として定義するためのプロパガンダ(誇張)だったという説もあります。

この映画の価値は、そんな怪物の『二面性』を浮き彫りにした点にあるのかもしれません。

3. 【史実と異なる悲劇】ケイ・アミン大統領夫人の最期

アミン大統領の妻であるケイ・アミンは実在の人物ですが、その悲劇的な最期は映画と事実で描写が異なります。

  • 映画の描写: 不貞を働いたことで、アミン大統領に見せつけに殺害されています。
  • 史実との違い: 史実では、親戚の外交官が殺害されたことに憤り、家を出たケイは離婚後に無残な遺体で見つかることになりました
    彼女の死にアミンが関与していたことは疑いようがありませんが、映画のような状況での殺害記録は残っていません。

史実における彼女の最期は、ここには記せないほど凄惨なものでした。

因みにアミン大統領は30人以上の子供を作ったとされています。

『独裁者の身内にすら逃げ場はなかった』という絶望感こそが、この映画が伝えたかったひとつの真実といえるのでしょう。

スポンサードリンク

まとめ:『ラストキング・オブ・スコットランド』が描きたかったもの

映画『ラストキング・オブ・スコットランド』は、実在した独裁者の狂気を、架空の青年の目を通して描いた衝撃的な作品でした。

衝撃なラスト、架空の人物・ニコラスは脱出に成功しますが、史実では多くの若者がアミンの狂気から逃げ出せずに犠牲となりました。

ぜひもう一度、ニコラスの「視点」に注目して、この歴史の闇を見つめ直してみてください。

スポンサーリンク
スポンサーリンク