映画『プラットフォーム2』考察│最後の意味は?時系列と老人の正体を解説

映画『プラットフォーム2(2024)』は、社会の不平等や人間の欲望が、前作よりもさらに極端に描かれたディストピア・スリラー。

衝撃的なラストに、「結局どういう意味?」「なぜ死んだはずのトリマガシ(老人)が出ているの?」と混乱した人も多いのではないでしょうか。

本記事では、本作の結末に込められた最後の意味を整理。前作との時系列の秘密、トリマガシの生存理由、そしてザミアティンの謎について徹底解説します。

前作のおさらいはこちら → 「『プラットフォームが意味不明』ミハル/子供/穴の目的/伝言/最後の考察」

※本記事はネタバレを含みます。

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映画『プラットフォーム2』のストーリー・主な登場人物

物語の舞台は、前作に引き続き、謎の縦型構造の施設「プラットフォーム」。

各階には2人ずつ収容されており、最下層に近づくにつれ食糧は届かなくなっていく。

そこには、独自の法が存在しており、絶対に破ってはならない。

人々は生き残るために、残酷な戦いを繰り広げていく――。


【主な登場人物】

  • ペレンプアン:本作の主人公。
  • ザミアティン:24階でペレンプアンと同室だった男。
  • :55階でペレンプアンと同室になった女。
  • メシア:プラットフォームに新たな法を作り、「マスター」「独立の父」と呼ばれる男。
  • トリマガシ(老人):前作の主人公と同室だった男。
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はじめに:前作からのつながりと変化

怪しい雰囲気のある大量のごちそう

前作では、「管理局が定めた法」に従っていました。食糧は上から下に降ろされていくため、下の層で連続して目覚めることは死を意味していました。

続編では、ある男による「法」が存在しています。秩序は保たれず、争い・憎しみにまみれています。

前作が「食うか食われるか」なら、続編は「殺すか殺されるか」という恐怖がありました。

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最後の意味は?結末が意味するもの【徹底考察】

トリマガシ(老人)が生きてる理由は?

監獄のなかにいる老人トリマガシのイラスト

トリマガシが生きている理由は、本作が前日譚(エピソード0)だったからです。

実は、トリマガシが前作の主人公・ゴレンと同室になったのは10か月目でした。

一方、トリマガシが本作の主人公・ペレンプアンと同室になったのは1か月目のことなのです。

伏線の振り返り

トリマガシのセリフ

以下のセリフは、前作『プラットフォーム』からの引用です。

最初は72層。そこから26に移り、78、43、11、それから79、32のあと……8層、先月は132層だった。そして今はここ」(老人トリマガシ)

引用元:映画『プラットフォーム』

ペレンプアンがトリマガシと同室になったときは「72層」。つまり1カ月目の物語だということが分かります。(上の層が多く、トリマガシツイていますね。)

1か月目のトリマガシは、例の「包丁」片手に、上から提供される料理に興味津々の様子です。

また、序盤のトリマガシは実態を伴い生きていますが、終盤の彼は亡霊だと思われます。前作でトリマガシがゴレンに殺されている事実が明らかになっているからです。

ラストのザミアティンや同室の女の姿も、亡霊の姿だと思われます。精神に異常をきたして幻覚を見ていたのかもしれません。

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ペレンプアンの担当面接官の存在

ペレンプアンがプラットフォームに入居する際に、担当した女性面接官が、前作『プラットフォーム』のゴレンと同室になった人物とよく似ていることに気づきましたか。

この面接官の女性は、“自らの行いを後悔してプラットフォームに入居した”と告白していました。

つまり、ゴレンがプラットフォームに入居するより前に、ペレンプアンが入居していたと解釈できます。

この時系列の逆転こそが、視聴者を欺いた最大のオチといっても過言ではないでしょう。

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どういう意味?管理局の狙いとは

管理局には、志望者たちをプラットフォームに収容することのほかにも目的があるようです。

その目的とは、「333層に置いてきた子供たちが無事に生きて帰れるのか」という実験です。

恐ろしいのは、管理局が食糧が足りなくなる可能性に気づいていないのではなく、意図的に欲望を引き出し、対立しやすい構造にしていたという事実です。

プラットフォームはひとつではなく幾つか存在しており、「リセット」されるときに人々が入れ替わっている可能性も考られます。

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ラストの台詞「あの子が伝言だ」の意味とは?

映画『プラットフォーム』のイメージ映像

ラストシーンで、ゴレンとトリマガシは「管理局」の狙いを理解していたはずです。

本来、プラットフォームには「子供(16歳以下)は入れない」というルールがあります。最下層で子供を発見した大人たちは、上に伝言するはずです。

しかし「伝言」は簡単なことではありません。彼らはみな自分が生き延びることで精いっぱいなうえ、中には333層まであるなんて信じない人もいるはずです。

最下層まで食べ物が行き届かなければ、最下層の住人からだんたんと死んでいくのです。

そんななか、ラストシーンで主人公たちがボロボロになりながらも子供を上へ送ったのは、管理局の予測を裏切る結果となったはず。

「あの子が伝言だ」という言葉には、管理局への無言の抵抗が込められていると考えられます。

直接子供を台座に預けたことで、

「あの子が伝言だ(あの子自身が伝言だ)」

というメッセージになったのではないでしょうか。

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ザミアティンがライターを選んだ理由

使い捨てライター

ザミアティンには、元々「現実逃避」または「自殺願望」があったから、と考えます。

ライターを使った作中の行為は「ガスパン」と呼ばれるもの。ガスを吸うことで、脳が酸欠状態になり、酩酊状態で気持ちよい感覚に陥ります。

実際にそういうゲームが流行った時期があり、中毒死した事例は幾つもある危険な行為です。

ザミアティンにとってのライターは、「気持ちよくなりたい、いざというときには死ねる」というお守り代わりだったのではないでしょうか。

彼は嘘つきであることから、情緒が安定していないことは明らかです。

本当は妻子を捨てたのではなく捨てられたほうですし、親から恐れられたのではなく、厄介払いでした。両親を殺そうとした、というのもウソなのかもしれません。

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映画『プラットフォーム2』を観た筆者の感想

社会の不公平が生み出す人間の「狂気」を再認識させてくれる映画でした。

争いを生まないために食べ物を捨てる発想は、少しは理解できます。しかし、食べた罰として人が殺められる姿に歓喜している姿は、もはや人間とは思えません。

裏切られたのは、ザミアティンというキャラクター。冒頭で「スキンヘッドに大柄な体格」「両親を殺しかけた」「肉を大盛りチョイス」などの演出で「要注意人物」の匂いをプンプン漂わせていました。

“この男、なにかやらかしそう……”

そう思った観客は多かったのではないでしょうか。

しかし現実は違いました。第一印象から一転、プラットフォームに入ったザミアティンはまるで赤ちゃんみたいでした。

大男も、狂気には抗うことができなかったのです。

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映画『プラットフォーム2』考察・解説まとめ

本記事では、映画『プラットフォーム2』の難解なラストと、そこに隠された真実を考察しました。

  • 最後の意味:時系列が入り組んでいる。
  • トリマガシやザミアティンたちが生きている理由:時系列反転・亡霊・幻覚。
  • 「あの子が伝言だ」の意味は?:実験を完了するためのひとつの手段。囚人たちの代わりに子供自身を上に届けることで伝言とした。
  • 管理局の狙い:人間の行動心理について、大がかりな実験をしている可能性。
  • ライターを選んだ理由:現実逃避・又は自殺願望があったため。

『プラットフォーム2』は、法律や秩序がいかに脆く、人間の欲望がいかに深いかを突きつけてくる作品でした。

ラストで子供を送り出した「伝言」が、前作のゴレンへとどう繋がっていくのか――。そう考えながらもう一度1作目を観返すと、また新しい発見があるかもしれません。

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