映画『トップガン』シリーズで、トム・クルーズ演じるマーヴェリックが纏うフライトジャケット。そこには彼の歴史を物語る数多くのパッチ(ワッペン)が刻まれています。
本記事では、ファンなら誰もが気になる以下のポイントを画像付きで詳しく解説します。
- 全17種類のパッチ(ワッペン)に込められた意味一覧
- マーヴェリックが劇中で着用した「本物」G-1革ジャンのメーカー
- 予告編で日本国旗や台湾の旗が消えた「真相」と復活の経緯
「あのジャケットを忠実に再現したい」「パッチの意味を知って映画を深く楽しみたい」という方は、ぜひご覧ください。
はじめに:ワッペンの意味と由来
ワッペン(パッチ)は、海軍の各部隊・艦艇・航空隊を識別する役割を持ち、「任務従事の証」「訓練完了の証」「滞在地域」などを示します。
由来:ワッペン(パッチ)の軍用過程は19世紀後半から20世紀初頭、特に第一次世界大戦前後(1910年代~)に遡り、部隊識別シンボルとして使用され始めました。海軍のパッチ文化は、部隊の個性や誇りを表現する重要な要素として発展し、現在に至っています。
アメリカの海軍では、これらのパッチをフライトジャケットに付けるのが一般的な習わしです。
ワッペンの種類一覧
- 士気パッチ:士気を高めるためのもの。例:訓練完了パッチ、部隊のモットーやスローガンを表すパッチなど。
- 部隊章パッチ:軍の所属を示すためのもの。例:航空隊パッチ、特殊部隊パッチなど。
- 階級章パッチ:軍の階級を示すためのもの。軍服の肩襟に付けられる。例:将官の階級章、兵の階級章など。
- フラッグパッチ:国への所属、愛国心を示すためのもの。国旗をデザインしている。例:刺繍フラッグパッチ、メタルフラッグパッチ
- 技術章・資格章パッチ:個人の専門技能や資格を示す。例:医療関連パッチ、艦艇関連パッチ、訓練完了パッチなど。
- 専門職パッチ:特定の職務・専門分野を示す。例:軍医パッチ、法務官パッチなど。
- 記念パッチ:部隊の歴史や個人の経験を示す。例:任務記念パッチ、創設記念パッチ、海外派遣記念パッチ、合同演習記念パッチなど。
海軍のパッチの種類は非常に豊富で、数百以上あるとされています。
共通のワッペンがあることで、会話のきっかけにもなるのだそうですよ。
『トップガン』マーヴェリックのジャケットにあるワッペンと意味
1.ドワイト・D・アイゼンハワー(CVN-69)パッチ
このワッペン(パッチ)は、アメリカ海軍の航空母艦 USS ドワイト D. アイゼンハ(ワーカーCVN‑69)の艦パッチです。
パッチのデザインには、空母のシルエットと艦番号「69」が描かれています。
艦の乗組員や関連する部隊によってジャケットやユニフォームなどに縫い付けられ、部隊の誇りや一体感を表すために用いられます。
2.米海軍巡洋艦・駆逐艦第9艦隊群(COMCRUDESFLOT 9 / ON THE MOVE)パッチ
このワッペン(パッチ)は、米海軍巡洋艦・駆逐艦第9艦隊群(COMCRUDESFLOT 9)の部隊パッチです。
パッチに大きく刻まれた「9」は第9艦隊を示し、下部の「ON THE MOVE」は独自パッチのフレーズと考えられます。
劇中でマーヴェリックが着用しているパッチは、ヴィンテージ品として1960年代のヴィンテージデザインを再現したものだと考えられます。
3.アメリカ海軍第7艦隊(United States Seventh Fleet)パッチ
このワッペン(パッチ)は、米海軍の逐次巡洋艦・駆逐艦部隊を表す「巡洋艦、駆逐艦 太平洋“ヴィジランス”」のパッチです。
上部の「巡洋艦」「駆逐艦」「太平洋」という言葉は、太平洋艦隊に属する巡洋艦・駆逐艦部隊を象徴しています。
該当する部隊やその関係者がジャケットなどに付けられ、所属と誇りを示すために用いられるパッチです。
4.米海軍パイロットをモチーフにしたデザインパッチ
このワッペン(パッチ)には「US NAVAL AVIATOR」と記されており、米海軍パイロット(Naval Aviator)をモチーフにしています。
中央に「LT.P. MITCHELL」とあり、「LT.」は一般に任命である中尉(ルテナン)の略として用いられる表記。
名前は『トップガン』の主人公ピート・ミッチェル(マーヴェリック)を示していると考えられます。
5.Far East Cruise ’63–4パッチ
このワッペン(パッチ)は、米海軍巡洋艦 USS Galveston(CLG‑3)が1963~ 1964年に行った「Far East Cruise ’63–4(極東クルーズ)」を記念したクルーズパッチです。
デザインには、日本や台湾など、この航海で訪れた国や地域の旗があしらわれています。
冷戦期の西太平洋に展開したUSSガルベストンの乗組員が、約束と航海を記念するために身につけた記念パッチと考えられます。
6.アメリカ国旗パッチ
このワッペン(パッチ)は、アメリカ合衆国の国旗(星条旗)をモチーフにしたものです。
右肩などに付ける場合は、星が正しい(右)にくる「リバースパッチ(reverse US flag patch)」が使われ、旗が進む方向に向かって翻っているように見えるための配置とされています。
7.USS ウィリアム H. スタンドリー(DLG-32)パッチ
このパッチ(ワッペン)は、アメリカ海軍の艦艇 USS William H. Standley(DLG‑32/のちに CG‑32)の艦章としてデザインされたものです。
「USS William H. Standley」は、1966 年にミサイル・フリゲート(DLG‑32)として就役し、1975 年の「DLG-32」は就役当初の艦種記号と艦番号を示しています。
この艦章パッチは艦の所属乗員や関係者がジャケットなどに付けて用いられていたと思われます。
8.米海軍空母パッチ
このワッペン(パッチ)は、アメリカ海軍の航空母艦をモチーフにしたデザインパッチです。
中央に描かれた空母と、その背景の青い海や大きな波は、洋の上で活動する空母の姿をイメージさせるデザインになっています。
空母に従事する艦員にとって、所属や誇りを象徴するパッチとして身に着けられることが多いと考えられます。
9.米海軍建設工兵隊シービーズの部隊パッチ
このワッペン(パッチ)は、アメリカ海軍の建設工兵部隊「Seabees(シービーズ)」を象徴するデザインパッチです。
「シービー」という名前は、大建設隊を意味する建設大隊の略称「CB(シービー)」に由来します。
Seabees建設は海軍大隊として第二次世界大戦中に構想され、戦闘地域での基地や滑走路の建設に加えて、最近は災害復旧や人道支援でも活躍している建設部隊です。
シービーズのパッチは、部隊に所属する隊員が所属と誇りを示すために制服や作業服などに着用すると考えられます。
10.第3海兵航空団パッチ
このワッペン(パッチ)は、アメリカ海兵隊の第3海兵航空団(3rd Marine Aircraft Wing, III MAW)の部隊パッチです。
デザイン下部のローマ数字「III」は、このパッチが第3海兵航空団を示していることを表しています。
第3海兵航空団の隊員が所属を示し、部隊としての誇りと使命感を象徴するために部隊パッチとされています。
11.第3海兵遠征軍パッチ
このワッペン(パッチ)は、アメリカ海兵隊の第3海兵遠征軍(III Marine Expeditionary Force, III MEF)の部隊パッチです。
赤い盾の中に描かれた黄色い龍と、上部のローマ数字「III」は、このパッチが第3海兵遠征軍を代表するエンブレムであることを示しています。
第3海兵遠征軍に所属する隊員が、所属部隊を示し、その誇りと使命感を象徴するために部隊パッチとされています。
12.サンダーバーズチームパッチ
このワッペン(パッチ)は、アメリカ空軍のアクロバットチーム「サンダーバーズ(サンダーバーズ)」を象徴するパッチです。
正式な部隊名はThe United States Air Force Air Demonstration Squadron(合衆国空軍空中デモンストレーション飛行隊)で、1953年創設以来、曲技飛行幼い空軍の心構えとチームワークを示してきました。
このパッチは、サンダーバーズのメンバーが所属を示し、チームとしての誇りや一体感を象徴するものとされています。
13.F-14 トムキャットパッチ
このワッペン(パッチ)は、アメリカ海軍の艦上戦闘機 F‑14トムキャット(Tomcat)をモチーフにしたデザインパッチです。
F‑14トムキャットは、マングラ社が開発したアメリカ海軍の艦上戦闘機で、可変後退翼と長射程空対空ミサイルAIM‑54フェニックスを運用できることが大きな特徴でした。
F‑14はアメリカ海軍では2006年に退役しましたが、現在もイラン空軍で運用が続いています。
パッチ中央のコミカルな猫のキャラクターは「トムキャット(Tomcat)」を擬人化したモチーフで、F‑14に関わる部隊や隊員が所属や愛着を示すために身に付けていたパッチと考えられます。
14.テキサス州旗パッチ
このワッペン(パッチ)は、アメリカ合衆国テキサス州の州旗(独りローン・スター旗)をモチーフにしたデザインです。
テキサス州は、一つ星の州旗にちなみ「ローンスター州(ローンスター・ステート)」という愛称で知られ、この星はかつて独立国だったテキサス共和国の独立精神と誇りを象徴しています。
下部の「DALLAS(ダラス)」はテキサス州の主要都市名で、経済・ビジネスなどの中心都市として発展してきました。
1836年から1845年にかけて、テキサスはテキサス共和国として独立しており、この種の州旗・都市名パッチは出身地や地元愛を示す目的で体につけられることが多いと考えられます。
15.トップガンの架空飛行隊パッチ
このワッペン(パッチ)は、映画『トップガン』に登場するマーヴェリックの所属飛行隊を代表し、架空の戦闘機飛行隊エンブレムとしてデザインされたものです。
作中の飛行隊名やワッペンの名前はフィクションですが、この種の部隊パッチは、部隊の所属や認識を示しています。
隊員が誇りを込めて身につけるスコードロンパッチとして用いられることが多いと考えられます。
16.ジャクソンビル海軍航空基地(NAS Jacksonville)の基地章パッチ
このワッペン(パッチ)は、フロリダ州にあるアメリカ海軍ジャクソンビル海軍航空基地(Naval Air Station Jacksonville)をモチーフにした基地インシグニア(部隊章)です。
「FLEET」という標語は「私たちは艦隊にフェリーする」の意味で、艦隊支援基地としての役割を表しています。
周囲の星は基地エンブレムの装飾として配されており、正式に「50州」を意味するとまでは確認できませんが、ジャクソンビル海軍航空基地に関係議員するや関係者が、所属と誇りを示すためにジャケットなどに取り付けて置くことが多いとされています。
17.CVW-2/USSレンジャー部隊パッチ
このワッペン(パッチ)は、アメリカ海軍の第2空母航空団 Carrier Air Wing Two(CVW‑2)と航空母艦 USS Ranger(CV‑61)に関連する部隊パッチです。
CVW‑2 は複数の戦闘機・攻撃機飛行隊などから統合空母航空団で、USS Rangerに多数乗艦して作戦行動に従事しました。
パッチに記された “USS RANGER” の表記は、このパッチが第2空母航空団(CVW‑2)が空母レンジャー(USS Ranger, CV‑61)に展開していた時期に関連するデザインであることを示しています。
「TOP TEN」の文字は航空団や艦のスローガン・ニックネームとして用いられていたフレーズと考えられます。
このパッチは、CVW‑2やUSSレンジャーに所属した隊員が記念として身につけていた部隊パッチと見なすことができるでしょう。
なお、記載内容には十分配慮しておりますが、重要な点については最新の公式情報もあわせてご確認ください。
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映画『トップガン』本物の革ジャンのメーカーは「AVIREX(アヴィレックス)」
トム・クルーズ演じるマーヴェリックが着用していた革ジャン(本物)のメーカーは、「AVIREX(アヴィレックス)」です。
「AVIREX(アヴィレックス)」は、映画『トップガン(1986)』の衣装監修を行ったメーカーです。
撮影ではAVIREX(アヴィレックス)の「G-1」フライトジャケットが使用されました。
本物(オリジナル)はこの一点であり、その後多くの会社からレプリカが発売され、『トップガン』のファンたちから熱い人気を集めています。
『トップガン マーヴェリック』(2022年)では一部シーンで類似デザインが登場しますが、オリジナル「G-1」は1986年作品を指すのが標準的です。
「G-1」とは海軍用のジャケット
「G-1」はアメリカ海軍航空隊用の伝統的な革製フライトジャケットで、主な仕様は以下の通りです。
- ボディの外側にゴートスキン(山羊革)を使用しています。
- 襟にムートン(羊毛、または羊革加工のファー)を使用しています。
- 背中にプリーツアクション(動きやすさのための折り目)があります。(初期型中心で、後期型では廃止例あります)。
- 袖口がニット製(リブ)。
- 襟の後ろや内側に「USN」(アメリカ海軍)のステンシルが入っています。
「G-1」と「A-2」の主な違い
| 項目 | G-1 | A-2 |
|---|---|---|
| 対象 | 海軍航空隊用 | 陸軍航空隊用 |
| 温度領域 | 中温域(例: -10~+10℃、インターミディエイトゾーン) | 比較的暖かい領域(夏向き傾向) |
| 襟 | ムートン付き | 無し |
| アクションプリーツ | あり(主に初期型) | 無し |
なお、仕様はモデルにより変動する可能性があります。
映画『トップガン マーヴェリック』の予告版で日本国旗のワッペンが消えた理由
予告編で、マーヴェリックのジャケット(背中)から一時的に日本国旗が消えた理由は公式発表されていませんが、報道によると、中国市場に配慮したためではないかと指摘されています。
その背景には、「映画産業において中国市場は非常に大きな収益源となっている」という事実があります。
2020年8月には、ハリウッドが中国政府の顔色を窺って、映画の自主検問をしていたことが、ニュースサイト『AFPBB News』で報じられました。
これらのことから、映画『トップガン マーヴェリック』においても、“自主検問”によるものといわれています。
- 日本国旗を消した理由:領土問題などがあり、日中の関係が複雑だから。
- 台湾国旗を消した理由:中国は台湾を独立した国と認めていないから(自国の一部という認識)。
因みに、日本国旗と台湾国旗の代わりに置き換えられた模様は、劇中でマーヴェリックが所属していた部隊「VF-1 FIREBIRDS」のシンボルです。
本編で日本国旗のワッペンを復活させた理由についても明かされていませんが、世間では「中国への忖度を無くした結果」といわれています。
【関連記事】
まとめ:『トップガン』ワッペンの意味・本物の革ジャンについて
本記事では映画『トップガン』のワッペン・本物の革ジャン(フライトジャケット)についてご紹介しました。
- マーヴェリックのフライトジャケットについているワッペン一覧と意味:全17種類解説。
- 『トップガン』で着用の本物の革ジャンのメーカー:『AVIREX(アヴィレックス)』。
ご参考になりましたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。



















