映画『ペンギンハイウェイ』についてです。
『ペンギンハイウェイ』は、『雨を告げる漂流団地』で知られる石田祐康監督によるアニメーション映画作品です。2018年8月17日に公開されました。
カナダで開催されたファンタジア国際映画祭にて「今敏賞(最優秀アニメーション賞)」を受賞しています。
原作は、作家森見登美彦さんによる同名小説で「第31回日本SF大賞」を受賞しています。
本記事では、
「お父さんは死亡してるの?」
「お姉さんの正体は?」
「海とは?」
について考察していきます。
ご興味のある方は、ぜひ最後までご覧くださいませ。
【ペンギンハイウェイ】主な登場人物/キャスト
■お姉さん/蒼井優…アオヤマ君が通う歯科医院に勤めている。ペンギンを出す謎のお姉さん。
■ウチダ君/釘宮理恵…探検隊の一員。ドジっ子。
■ハマモトさん/潘めぐみ…探検隊の一員。チェスが得意。お父さんが研究員。
■アオヤマ君のお父さん/西島秀俊…アオヤマ君のお父さん。アオヤマ君に学び方を教える。
本記事では、アニメ映画『ペンギンハイウェイ』についてです。「なぜ炎上?・気持ち悪いの?・どのシーン?」について女視点で感…
【ペンギンハイウェイ】お父さんは死亡してるの?考察
本作には、お父さん死亡説があります。
調べてみたところ、理由は以下のようです。
- 季節が夏(お盆だから帰ってきている)
- アオヤマくんがしっかりしすぎ(父親が死亡しているから)
- 妹が母の死を想像して突然泣く(父親が死亡しているから)
以上です。
筆者としては、お父さんは死亡していないと考えます。
理由は以下になります。
- 15:20辺りで、マスター・お姉さんと会話している(“いらっしゃいませ”、“ほらお迎えがきたよ”など)
- 16:00辺りで母・妹と挨拶している(“いってきます”、“いってらっしゃい”)。
- お父さんのノートがアオヤマくんにそっくり(インデックスシールびっしり)
「この子にしてこの親あり」 - 妹が母の死を想像して突然泣くのは、“思春期の不安定さ”・お姉さんが突然死ぬかもしれない”という想像させる描写
お父さんは、喫茶店でお姉さんやマスターとも会話しています。
また、もしお父さんが死亡しているとして、お姉さんが「ほら、お迎えきたよ」は不謹慎に思えますね。
また、アオヤマくんが賢いのは、お父さんの影響が強そうです。
教育上手な、お洒落なお父さんといえるでしょう。
仮にお父さん死亡の裏設定があるとしたら、アオヤマくん以外と会話させたり、不謹慎な発言は避けたいところでしょう。
これらのことから、お父さんは生きていると考察しました。
【ペンギンハイウェイ】お姉さんの正体は?考察
お姉さんの正体は、地球にできてしまった穴(海)を修復する存在です。
- なぜペンギンなの?
- 人間ではない…なら何者?
1:なぜペンギンなの?
お姉さんがペンギンが好きだから
なぜ「ペンギン」なのかというと、お姉さんがペンギン大好きだからだと思います。
お姉さんは、部屋の壁にペンギンの写真を貼っていたり、「この世界がペンギンでいっぱいになればいい」と発言したりするくらいペンギンが大好きです。
一方、童話「不思議の国のアリス」を読んで、「ジャバウォック」というキャラクターが夢に出てくるほど嫌いになります。
とたんにジャバウォックを生み出します。コウモリのことも元々嫌いでした。
お姉さんは気分が良いときに、世界を修復するための「ペンギン」を生み出します。逆もしかりです。
これらのことから、お姉さんが出す物体には、お姉さんの気持ちがストレートに反映されていることが分かります。
ペンギンが本作にピッタリだから
メタ的な観点でいえば、「ペンギン・ハイウェイ」が本作のテーマにピッタリだったからといえます。
タイトルにもなっていますね。
原作者の森見登美彦さんは「なぜペンギンなのか」と聞かれて、以下のように答えています。
こういう世界を描きたいとぼんやり考えていたときに、テレビのドキュメンタリー番組で“ペンギン・ハイウェイ”という言葉を知りました。ペンギンたちが海からあがって自分の巣に戻る道のことで、 “ハイウェイ”でもなんでもないんだけど、それをわざわざ“ペンギン・ハイウェイ”と呼ぶのがかわいいと思ったのが一つです。それと、ペンギンという自然の生き物と、ハイウェイという人工的な言葉の組み合わせが、そのとき自分が描きたかった郊外の雰囲気に合っているなと思いました。
引用元:高校生のための進学情報サービス「キャリタス進学」
こういった背景から、「ペンギンを生み出す」お姉さんが誕生したのです。
2:人間ではない…なら何者?
- 科学で証明できない存在
- 少年の研究対象
1:科学で証明できない存在
お姉さんは、科学で証明できない存在です。
お姉さんがアオヤマくんのことをたまに「科学くん」「科学の子」と言いますね。
アオヤマくんは、気になることを科学に基づいて説明しようする男の子です。
しかし、この世には科学で証明できないものも存在します。
例えば作中に、お姉さんの寝顔を見てアオヤマくんがノートを片手に考え込むシーンがありますね。
なぜこの人の顔は、こういう形に出来上がったのだろう。
出典元:映画『ペンギン・ハイウェイ』
なぜお姉さんの顔を見ていると、嬉しい感じがするのだろう。
なぜ僕が嬉しく思う顔が、遺伝子によって完璧に作られて、いまここにあるのだろう。
つまりお姉さんに恋をしているということなのですが、幼いアオヤマくんにはまだ理解できません。
脚本の上田誠さん曰く、“この作品の柱はアオヤマ君がお姉さんに対して抱く恋慕の気持ち”だそうです。
到底、思春期の少年が「お姉さん」について知ることなどできないように、
お姉さんの正体については「証明できる存在」ではあってはならないものと考察できます。
視聴者にとってあくまで「謎」であることが正解なのだと思います。
2:少年の研究対象
お姉さんへの興味×探求心
本作は、「おっぱい」への興味・描写が露骨です。
「お姉さんを知りたい、研究したい」…これに近しいことを考えて少年時代を過ごした人は多いのではないでしょうか。
しかし「お姉さんを研究」というテーマは…一筋縄ではいきません。
何故なら、研究内容によっては、倫理的観点から問題作とされそうだからです(汗)。
ただし、本作に登場するお姉さんは人間ではありません。
物を食べる必要はなく、ペンギンエネルギーで生きています。
ペンギンやコウモリ、ジャバウォックを産み出してしまいます。
しかし人間と同じ心はあります。おっぱいもあります。
「人間」ではありませんが、「お姉さん」の性質はバッチリ備えているのです。
このように、「お姉さん」を生物学的に謎の存在とすることで、「お姉さんを研究」という少年心に沿ったテーマを成立させたように思えます。
【ペンギンハイウェイ】海とはなにか?
お姉さんの故郷で、世界の果て(地球にできた穴)です。
- お姉さんの故郷
- 世界の果て(地球にできた穴)
1:お姉さんの故郷
海は、お姉さんの故郷です。
ペンギンハイウェイの向かう先はルッカリー(繁殖場所)ですね。
ただ、このペンギンたちは繁殖によって生まれた訳ではなく、お姉さんが生み出したものです。
そしてお姉さんの故郷は海の傍でありながら、実際に海へ近づくと体調を崩して動けなくなってしまいます。
つまりお姉さんの生まれた場所は「海の向こう側」しかありません。
これらのことから、海はお姉さんの故郷であることが分かります。
2:世界の果て(地球にできた穴)
海は、世界の果て(地球にできた穴)です。
チェスが幾度となく出てきますが、これはまるで世界と海の関係を表しているかのようです。
どちらが優位になるか。
どちらの世界が呑み込まれるかという関係性にあるように思います。
お父さん:「世界の果ては、遠い外側にあるとは限らない。そう父さんは考える」
アオヤマくん:「どういうこと?」
お父さん:「世界の果ては折りたたまれていて、内側に潜りこんでいる。例えば、この袋に世界を入れることはできると思うかい?」
アオヤマくん:「ん~…、分からない」
お父さん:「こうやってこうすると(※巾着袋を裏返す)、ほら、内側が外になって、この世界はいま袋のなかにあるとことになる。そして、世界の外側はこの中に潜り込んでいると考えられる。ちょっと難しいかな」
出典元:映画『ペンギン・ハイウェイ』
最後のシーンで、温度計の「ペンギン号」がコロっと姿を現したことからも、遠いようで遠くない場所にあるようです。
【ペンギンハイウェイ】お父さん死亡?お姉さんの正体や海について考察まとめ
今回は、映画『ペンギンハイウェイ』について考察・解説してみました。
- お父さんは死亡してるの?…死亡していない。
- お姉さんの正体は?…地球にできた穴を修復する存在。科学で証明できない存在。
- 海とはなにか?…お姉さんの故郷・世界の果て(地球にできた穴)。
という結果となりました。
一個人の考察となりますが、ご参考になりましたら幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。