アニメ映画『すずめの戸締り(2022)』についてです。
監督は、社会現象ともいえる大ヒットを記録したアニメ映画『君の名は(2016)』で知られる新海誠(しんかいまこと)さんです。
ネット上には「ダイジンが可哀相!」という声が溢れています。同時に「鈴芽嫌い!」という声もあります。
そもそも、ダイジンの正体についても気になるところですよね。
ということで本記事では、
「ダイジンの正体」
「ダイジンがかわいそうな理由3点」
「鈴芽嫌いな理由2点」
について、感想を交えつつ考察していきたいと思います。
もしご興味のある方は、ぜひ最後までご覧くださいませ。
※以下、ネタバレを含みます。
【すずめの戸締り】あらすじ・ストーリー
九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、
「扉を探してるんだ」という旅の青年・草太に出会う。
彼の後を追って迷い込んだ山中の廃墟で見つけたのは、
ぽつんとたたずむ古ぼけた扉。
なにかに引き寄せられるように、すずめは扉に手を伸ばすが…。扉の向こう側からは災いが訪れてしまうため、
草太は扉を閉めて鍵をかける“閉じ師”として旅を続けているという。
すると、二人の前に突如、謎の猫・ダイジンが現れる。「すずめ すき」「おまえは じゃま」
ダイジンがしゃべり出した次の瞬間、
草太はなんと、椅子に姿を変えられてしまう―!
それはすずめが幼い頃に使っていた、脚が1本欠けた小さな椅子。
逃げるダイジンを捕まえようと3本脚の椅子の姿で走り出した草太を、
すずめは慌てて追いかける。やがて、日本各地で次々に開き始める扉。
映画『すずめの戸締まり』公式サイト│「すずめの戸締まり」製作委員会
不思議な扉と小さな猫に導かれ、九州、四国、関西、そして東京と、
日本列島を巻き込んでいくすずめの”戸締まりの旅”。
旅先での出会いに助けられながら辿りついたその場所で
すずめを待っていたのは、
忘れられてしまったある真実だった。
【すずめの戸締り】主な登場人物/キャスト
■岩戸鈴芽/原菜乃華… 主人公。17歳の女子高校生。ひょんなことから、要石を抜いてしまい、草太と共に旅に出る。
■宗像草太/松村北斗…「閉じ師」を家業としている一家の青年。教師を目指している。ダイジンに椅子の姿に変えられてしまう。
■ダイジン/山根あん…白い子猫。要石の役目を放って逃げ出す。
■岩戸環/深津絵里…鈴芽の叔母。震災で鈴芽の母が亡くなって以来、鈴芽を引き取って面倒をみている。
■芹澤朋也/神木隆之介…草太の友人。教師を目指している。
【すずめの戸締り】ダイジンの正体を考察!
ダイジンの正体(要石になる前)は、人間の子どもだったと考察します。
草太を助けようとする鈴芽に対し、おじいさんが落ち着き払った様子で「要らぬ手だしだ」と言っていることから、草太が要石となることは、禁忌や珍しい事例ではないことが伺えますよね。
今後、草太は何十年もかけて、神を宿した要石となっていくとのこと。
祖父がサダイジンに「おひさしゅうございます」とあいさつしていること、ダイジンも言葉を話すことなどから、草太同様に、元は人間だったと推測できる訳ですが、下手したら子供だったのでは…と想像してしまいます。
理由は、
- 子猫の姿であること
- 声や口調が幼いこと
- 鈴芽の子になるという言葉に執着し喜んでいること
です。
ダイジンの様子からいくと、100%納得して要石となったとは思えませんね。
本当は、“誰かに愛されて、誰かのうちの子になりたい”という願望が見え隠れしています。
親がいないために、周囲の大人たちからこの役目を押し付けられたのではないかな、と。
さらに、途中、サダイジンと環がシンクロしていることから、サダイジンはダイジンの保護者だったのでは…という気もします。
考えすぎかもしれませんが(汗)。
【すずめの戸締り】かわいそうな理由を考察
- ダイジンの正体
- ダイジンの最後の記憶
- 子猫の姿をしているから
かわいそうな理由1:ダイジンの正体
ダイジンの正体が、恐らく子供であることがかわいそうです。
正体が子供であることについての考察は、前述した通りです。
子供のまま要石となったということは、
- さほど恋愛できなかった
- 愛する人と結婚して家庭も持てなかった
- そのほか将来の夢など、多くのことを諦めた
ということがいえます。
ダイジンは要石の役目から解き放たれたときに、そのまま逃げることも可能でしたが、自らの意志で鈴芽を導き、要石に戻りました。
こういった側面も「ダイジンかわいそう」という気持ちを助長させているように思います。
かわいそうな理由2:ダイジンの最後の記憶
再び「要石」となる前の最後の記憶がかわいそうです。
仮に、ダイジンが人間だった頃にやり残した夢を叶えて、再び要石になったとしたら感動しますが、そうはいきませんでした。
ダイジンに上書きされた記憶が、母代わりの鈴芽から、
「大嫌い!」
と言われて、
一組のカップルに
「「はぁ~~~~~~~~~~!」」
といさましく地に突き刺さられる記憶となりました。
「ダイジンかわいそう」と考えずにはいられません。
かわいそうな理由3:子猫の姿をしているから
ダイジンが可愛らしい子猫の姿をしているから、かわいそうです。
愛猫家は多いですから、子猫の姿をしているダイジンに「かわいそう!」という声が集まりやすいように思います。
因みに、動物や人間の赤ちゃんは「ベビースキーマ(※赤ちゃんに共通する身体的な特徴)」と呼ばれる特徴を捉えており、親が本能的に守りたいと思わせるそうです。
私たち視聴者にも、それと同じ現象が起きているといえそうですね。
もし、要石の姿が恐ろしいモンスターだったのなら、また受ける印象も違ったのかも?
【すずめの戸締り】鈴芽が嫌いな理由を考察
- トラブルメーカー
- 優しさがない
嫌いな理由1:トラブルメーカー
イケメンにつられて、要石を引っこ抜く鈴芽
そもそも、今回の騒動の諸悪の根源は“鈴芽が要石を引っこ抜いたこと”です。
それも理由によっては仕方ないと思えますが、
鈴芽が学校をサボってまでわざわざ遺跡に行き、要石を引っこ抜いた理由は「草太がイケメンで気になったから」です。
もし草太がイケメンでなかったら、無かった災害でした。
おまけに、終始罪悪感を抱いている描写がないので、人格として不自然でした。
むしろ「わたしたち、すごい!」「私、大事なことしてる!」のモチベーションでした。
逆にいえば、天真爛漫な少女といえるでしょう。
なぜか「妹です」と名乗る
鈴芽はなぜか「妹です」と名乗ります。
すぐに「草太に妹いたっけ」と指摘されるも、「妹ではなく、従弟!」とあくまで親族を名乗ります。
普通に「友達」で良かったと思います。もしくは「彼女」でもいいです。
そのあと、草太が辻褄を合わせることが容易になるからです。
なんにも考えてないんだろうな、だからこそこんなことになったんだろうな。
“後先考えず行動する、癇癪持ちの少女”というイメージです。
嫌いな理由2:優しさがない
ダイジンに対してひどい
「うちの子になる?」「かわいい」
と声かけるシーンがあります。
このシーンでは、(鈴芽ってかわいいなぁ、優しいなぁ)と思いました。
が、鑑賞後には、もし部屋に颯太がいなかったら、話しかけることもなく、追い払っていたのでは…と疑ってしまうレベルでした。
何故なら、鈴芽は、ダイジンが要石とわかるや否や、「アイツ」「あんた」呼びです。あらゆる土地でツイートされるたびに、敵意むき出しです。
これまでミミズを抑えてきた守り神に対し、少しだけ感謝や敬意があっても良いように思いました。
叔母さんに対してもひどい
コブつきだったため、婚活もうまくいかなかったとのこと。
一方、鈴芽はというと恩を仇で返します。
例えば、
「環といたくて一緒にいたんじゃない!」
と言い放ち、友達の前では
「早く彼氏作ってくんないかな、この人」
とボヤいています。恩人に対して「この人」という言い方、問題ありのように思うのですが…(汗)。
もう少しヒロインには優しさがあってほしかったと思います。
作品を通して、“周囲の人の気持ちに全く配慮できない人”と言う印象でした。
鈴芽の反抗期でしょうか…?
【すずめの戸締り】草太もひどい
ついでに、草太もひどいです。草太と草太のお爺さんとの差が歴然としています。
勉強不足なのか、草太に要石についての知識は足りないようです。なぜなら、
「そいつが役目を投げ出して!俺に呪いをかけたんだ!」
と憤慨しているからです。少なくとも神様に近い存在とは思っていないでしょう。
終始、悲劇のヒーローモードです。
旅するうちに、要石(ダイジン)についての理解を深め、尊敬の念を抱き始めるなど心の変化の描写があったらもっと良かったと思います。
草太とすずめの内面の成長が見たかった!
【すずめの戸締り】ダイジンの正体・かわいそう・鈴芽嫌いについて考察感想まとめ
今回は、アニメ『すずめの戸締り』について考察感想してみました。
- ダイジンの正体…要石。かつては、人間の子供だった。
- ダイジンがかわいそうな理由3選…ダイジンの正体・ダイジンの最後の記憶・ダイジンがかわいい子猫の姿をしているから
- 鈴芽が嫌いな理由2選…トラブルメーカー・優しさがない
という結果となりました。
今回は「ダイジンかわいそう」「鈴芽嫌い」という点をとりあげましたが、ポジティブな印象もありました。
例えば、ダイジンがかわいいこと、サダイジンがミミズと戦っているシーンは感動しましたし、芹沢くんと環さんのキャラクターは好きでした。
以上となります。ご参考になりましたら幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。